第2話 これを始まりとしよう

 みゆ:明日ってアドバンスの提出ある?

 みう:あると思う

 真紀:マジ。まだやってない。だれか、答え。

 祐樹:思ったより簡単だったよ。5分でできる。

 みう:それは佐藤君だからでしょ。でも、簡単だった。

 真紀:OK今から秒でやる

 もりたごん:なにをやんの

 みう:アドバンスだって。

 もりたごん:あ~数学だるい。いま、「朝までナイトショー」やってんのに。

 みゆ:そっか。今日、木曜か。見よう。

 祐樹:誰か面白いの出てる?

 みゆ:コンプライアンス遵守が出てるよ。

 祐樹:じゃっ見る。

 青木:コンプライアンス遵守って意味被ってない?

 青木、青木 たけるの芸能界を知らないが故のマジレスで、クラスLINEが途切れた。まあ、数学の宿題やったりテレビ見たりするのに夢中なんだろうけど。この辺まで、とりあえずコピーして、第一話にでも載っけるか。どういう、話の運びにしよう。結局グループLINEとはいえ、常駐してるのはこの五、六人ぐらいなものだろう。たぶん、お弁当も男女混じって、教室の右前で食べているグループだろう。他のクラスメイトも決してクラスLINEに興味がないわけではなく、もしかすると本当に興味がないかもしれないが、個人的な一対一のやり取りや別のグループLINEでおしゃべりしてるんだろう。

 ―ピコン。

 また着信音が鳴った。

 祐樹:なんだよ、コンプライアンス遵守、ブイティーアール出演だけかよ。

 みゆ:忙しいんじゃない。

 祐樹:かもな。でも、11時台にしては視聴率のあるのにもったいないな。

 みゆ:確かに。

 こんなどうでもいい会話がまだ続きそうだ。こんなの見る意味がない。そう思い、スマホを閉じる。

 いや、待てよ。クラスLINE以外も見たら面白いんじゃないか。

 梨川 卓也はそう思い直し、再びスマホに4桁の数字を打つ。

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