第6話
目が覚めると腕の中に柚希がいない
「柚希っ!」
焦って起き上がるとベッドの下に膝を抱えて座る彼女がいた
窓の外をぼーっと見上げてた
「…ここから、見えるんだねぇ。東京タワー」
俺は彼女の後ろに座って腕と足で抱え込むように包んだ
「はぁー、何落ち着いて言ってんだよ、いなくなったかと思って、焦ったぁ」
「フフ、強がり言う癖に相変わらず、淋しがり屋だね」
「っんなことねぇよ」
「私ね…帰らないと…」
「…そっか。
また、俺んとこ戻ってきてくれたんじゃ…なかったんだな」
「……。」
黙ってしまった彼女の頬に手を添えてこっちに向けた
「柚希のほんとの気持ちは…?」
「ずるいよ、俊…。自分は言わないくせに…。
そうよ、私もずっと会いたかった。
東京タワーを見る度にあなたを思ってた。
インスタグラムでshunの名前を見つけた時、嬉しかった。コメント出来てすっごく、嬉しかった。…会いたくなった…っで、会えたら…」
「会えたら?」
「会えたら…離れたくなくなったよぉー」
俺の首もとに顔を埋めてしくしく泣いてる柚希
震える背中をさすって言った
「俺…待ってるから。柚希のこと、待ってるから」
「ぅん、グスッ」
「柚希は昔っから、曲がったことが嫌いだった。
なのに、今日ここに来たのはすっげぇ、勇気のいることだったと思う。
ありがとうな。今度は笑って会おう」
「…わかった」
俺達は連絡先の交換も次の約束も何もしないまま…。
唯一の繋がりはInstagramのアカウントだけ
shun-0129
y-415
不確かな繋がりだけど、大切な1本の赤い糸だと信じたい
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