第4話

届かないけど

繋がってる


聞こえないけど

伝わってる


俊とのコメントのやりとりは毎日のように続いた


《オフィスのデスクに缶コーヒー》

今日は残業。つらっ


y-415 お疲れさまです。頑張って下さいね


shun-0129 ありがとう(^ー^)


クスッ、顔文字とか使うんだ


《新幹線からの景色》

出張🚅


y-415 どちらまで??


shun-0129 大阪まで


y-415 そうなんですね。気を付けて


shun-0129 いってきます


いつ、帰ってくるんだろ




「柚、最近よくスマホ見てるね 」


「そう~?」


「うん、何見てるの?」


「別に…特に…いろいろっかなぁ」


「ふーん、あっ、今晩、飲み会だから」


「わかった」


直人の目を見れなかった

やましいことはしてない

ただ、知らない者どうし…コメントのやりとりをしてるだけ


でも…

その晩

彼のストーリーズ

あの場所、東京タワーの見える場所が写し出された


今…いるの?そこにいるの?俊…


私は気付くと走ってた

ただ、ひたすら、会いたくて


「はぁはっ」


「柚…希?」


「俊…」


「やっぱりな」


「へ?」


「わかってたよ

y-415さん」


「どうして?」


「俺にはわかんの。柚希の言葉が」


「いつから?」


「最初っから」


「ほんとに?」


「ほんと。

…久しぶりだな柚希」


「やだっ、もう」


涙が止めどなく溢れてその場にしゃがみこんでしまった


「おい、大丈夫か?」


肩に手をおいて顔を覗きこむ彼


「そんなに俺に会いたかったかぁ?」


「バカっ、自惚れないでよ」


「俺は会いたかったよ、ずっと」


抱きしめようと伸ばされた手を思わず、制止した


「ごめん…付き合ってる人いるの」


「え?」


「ごめんなさい」


「じゃあ、どうしてここに来た?」


「どうして……って」


「柚希も俺に会いたかった

っで会えたから、泣いてるんじゃねぇの?」


「……グスッ」


「やっと、会えたのに、はい、そうですかってこのまま帰せるかよ」


俊は私の手を引っ張って、大通りまで出るとタクシーを止めた


「柚希…今日は帰さないから」

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