第2話
人の心は見えないけど
人の気持ちは理解しないといけない
彼はいつだって、私の気持ちをわかろうとしてくれてた
直人と付き合い始めて、2年が過ぎた頃、
私たちは一緒に住むようになった
彼は仕事で遅くなることが多く、特に趣味もなかった私は何をするわけでもなく、毎晩、時間をもて余していた
そんな時、友達に勧められて、始めたInstagram。
最近、楽しくなってきた
まだ、自分で投稿することは出来ず、専ら、見る専門
あれ?この写真…
昔の友達のアカウントを見つけた
懐かしくて、コメントしようか……と思ったけど辞めた。
子供の写真で埋め尽くされたアカウント。
独身の私には
可愛いね…幸せそうだね、それ以上の言葉が見つからなかったから。
見なきゃいいのに、度々見てしまう彼女の投稿
数日後、コメント欄に見覚えのある名前を見つけた
shun_0129 元気そうだな。子供大きくなったなぁ
ドクンと心臓が波打った
「ただいまぁ」
「あっ、おかえり」
「ん?どうした?」
「へ?」
「そんなびっくりした顔して」
「うううん、何もないよ
ちょっと考え事してたら、直人の声が聞こえたから」
「俺に会いたかったのー?」
「うんっ」
「ほんとかぁ?」
「きゃっ」
いきなり、覆い被さるように彼に抱きしめられた
「もう、お酒くさいよー。飲んできたの?」
「うーん、少しねー」
「少しじゃないでしょ、ンンンっ」
イタズラっぽく笑った彼に唇を塞がれた
アルコールの味が絡めた舌から口内に広がる
「柚、しよ」
「お風呂は?」
「あー、もう無理っ」
「え?直人、やっ、もっ、」
押し倒されると、身体中滑るように這っていく唇と手。
強引だけど優しく触れてくれる。
大きな身体で子供みたいに甘える。
彼のペースにいつも引っ張られてた
「なぁ、柚、今度の休みに俺の実家に行かない?」
「直人の?」
「そんなびっくりすることでもないだろ、柚のお母さんには何度も会ってるし、俺の方もさ」
「そう…だよね」
「予定ある?」
「次の休みは…友達と約束してるの」
「そっか。じゃあ仕方ないな」
「ごめんね 」
「いいよ。気にすんな
おやすみ」
「おやすみなさい」
嘘を…ついた
さっき、目にしたshunの文字が頭から離れなかった
次の日
仕事が終わって帰宅し、直人が帰ってくるまでの時間
私はいつもようにInstagramを開いた
shun-0129をタップすれば、彼のアカウントが見れる
もし、顔が出ていれば、間違いない。
戸惑いながらも
人差し指をそっと、動かした
50近い投稿はすべて、風景や食べ物の写真ばかり。
でも、私には何故か俊だって、確信できた。
どうしてだろ?
理由はなかった
ただ、あなたの息遣いが感じられた
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