第2話 私の主人

「ま、貴方たちからしてみると、〈神の血〉のF(first)は珍しいものね。」

「まあな。実験対象さ。俺らの陣営が勝つための。」

「あら、そう。」

ハンドガンを取り出し、刀を抜いた。ちょっと、バランスが悪いけど、両方に適正が出てしまったため、どっちつかずで、やってたら、そんな戦い方が身に付いてしまった。

左手の銃をあえて相手から照準を合わせず、壁へ一発。バァン.....!と勢いよく飛び出したモノは相手を勿論掠りもしなかった。

「おやぁ、最強の呼び声も高い、光(ひかり)様で棒立ちの俺も当てられないとは」

嘲笑しか感じられない顔で言う。後ろはちらりとも見ない。その様子に嘲笑で返したくなった。

「しゃ!」

どこからともなく、斧を出した。そして、床を勢いよく蹴ると、一瞬で、こちらに来て、振り下ろした。鎬で受け止めたが、片手では抑えられない。

「くっ、」

物質変化の錬金術、肉体強化、二つか。そう、冷静に考えながら、

「我が神よ、応えよ!」

突然の、熱気。何が起きているのか分からない彼を心の中で大笑いしながら、

「取り押さえよ」

「な、何っ!?・・・・熱い!!」

どこからともなく、炎が現れた。そして、動きを止めるように、脚に腕に絡み付く。

「動く?どうする?」

聞く意味もないのだが。

私は彼に近付き、バイバイ、口を動かさず、ただただ、念じ、刀で切りつけた。


焼け焦げた壁。

特に、ある黒い一点に目がいく。

ふっと嗤うと、部屋を出た。




或斗(あると)様を探す。私の主人。忠誠を誓った相手。

主人を探すよりも先に同じ従者を見つけた。漆黒の髪と瞳の男子。少し癖っ毛。氷でできているような、杖。実際上に触ってみても、冷たい。

「と、も、様~」

にやっとした顔で抱きついた。はぁ?とした顔で私を引き剥がそうとする。それを受け入れ、引き剥がされた。

「お前は痴女か」

「ひどい!とも様と或斗様だけだし」

「良くねぇよ」

「お母さんかお父さんみたいだね。あ、お父さんだな。お母さんは或斗様!」


「なに、言ってるの?」

マイペースでそう聞いてきたのは、黒とも茶ともつかない、さらさらな髪の少年。二振りのナイフを携えていた。

「或斗さ「或斗、無事か!?」ちぇ」

或斗様で。私は抱きつこうとしたら、とも様に押しやられてしまった。


これが、私の大切な〈桜華血紅(おうかけつぐ)〉のメンバーだ。

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