第4話
腕の中で温もりを包み込むと頬に伝わる微かな脈動
そのトクントクンという規則的な音が俺の心に響く
さっきまで荒んでいた心に水を与えてくれるような、不思議な感覚
「んっ」
「真優、起きたか?」
「うん」
「ごめん...俺」
「理空はなんにも悪くないよ」
「真優...どうしよう
俺...マジでお前を離したくない」
「理空、このままでいい?後悔しない?」
「行ってもいいのか?」
「いいよ」
「会えなくなる」
「いいよ」
「雷鳴っても抱きしめてやれない」
「...頑張る。
だって、理空も頑張るんでしょ?」
「あー、めちゃくちゃな」
「なら、私もめちゃくちゃ頑張る!」
「ヤバいから、真優。
そんなこと言ったら、泣けてくるだろ」
「泣いても...いいんだよ、理空」
細くて、ちっちゃい真優の身体を壊れるんじゃないかってほど強く抱きしめて、俺は泣いた
男が泣くなんて、恥ずかしいと思ってたけど、真優の穏やかな声に誘われるように(いざなわれるように)涙が溢れた
俺はやっと、先に進めるかもしれないチャンスを掴んだ
映画を作ることを目指す俺と
演じることを目指す彼女
いつかお互い輝く場所に立つことが出来たならば.....必ず、逢える
これは別れじゃない
始まりだから。
真優、俺が先に上っていって、そこからお前の手を引っ張ってやる
待ってろ
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