第13話

この世の中

私が知ってることより、知らないことの方が何倍も何十倍もあって

狭い世界の中でいつまでもも膝を抱えて縮こまっていた自分が情けなくなった


理空がいるから、強くなれた



「真優ちゃぁーん、お客さんよー」


「お客さん?私にですか?」


店のドアの外でキョロキョロとする理空の姿


「どうしたの?」


「真優…元気か?」


「クスクス、元気か?って昨日も電話で話したでしょ?」


とりあえず、友達の私達。

それなら、電話しても会ってもいいじゃんって、結構まめに連絡くれる彼


「そうだった?それより、んっこれ、やるよ」


「何?これ?」


「今日、天気悪くなりそうだから、いるだろ、それ」


「理空…」


「いっちばん、安いやつにした。

どうせすぐに必要なくなるから」


「どうして?」


「どうして?って、マジで言ってんの?

あー、ムカツク

お前、俺を怒らせるの得意だよな」


「そんなことないよー。

えっと、んー、あっ、そうかっ!」


「気付くのおせぇーよ」


「ありがと」



無邪気に笑う真優を見てると触れたくて…

そっと頬に手を伸ばした


「理空…」


みるみる、大きな瞳が潤んで、泣きそうな顔で見上げるから…


両手で思いっきり頬を引っ張った


「いひゃいっ」


「ハハハぁー、ぶっさいくな顔

あんま、俺を怒らせんなよな

じゃ、仕事戻るわ」


「うん」


「またな」



夢は追い続けるものだけど

その夢は自分で見つけるもの


『頑張らなくていい、負けんな』

って言ってくれた理空の言葉を支えに私は新しい夢に向かおうと思った


あなたの隣にいたかったから...。


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