第2話

しょうがない。しょうがないのだ。部活は忙しくて、終わる時間も遅いし、その後塾行って、ギリギリまで勉強して、家に帰っても勉強して。どうやったって、寝るのは1時を過ぎるし、6時までには起きなきゃいけない。授業だって起きなきゃいけないことは分かってるけど、分かってるけど、黒板を見て先生の話を聞いていると、視界が揺れていって、頭は靄がかかったようにぼんやりしてくる。

そしたらいつの間にか眠ってしまっているのだ。


けれど、授業中に寝てしまうのは私一人だけになることは滅多にない。私のことを「眠り姫」と呼ぶアイツらだって、寝ていることはある。だけど、標的になったのは私だった。

クラスの一部だけの呼び名だったその名は、いつの間にか学年中に知れ渡っていた。

この学校では、私のことを佐藤 葵と呼ぶ人より、「眠り姫」と呼ぶ人の方が多くなっていった。

私が私でなくなってしまう気が、して。

ああ、また視界が、揺、れていく。



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