第1話
桜の花びらが舞い散るとは言えないが、ある程度綺麗に咲いた花は、俺たちを祝福してくれているのかもしれない。
中学3年生になって俺の心はワクワクしていた。
「優真〜!俺たち同じクラスだったぞー!」
光輝の声が聞こえ、俺たちは歓喜に包まれた。
「まじか光輝⁉︎めっちゃ嬉しい!」
ウェーイ、イェーイなんて言い合って、肩を組んだり、ハイタッチしたり。周りの奴には気持ち悪いと言われるが、俺と光輝はずっとこうだった。
そのまま時は過ぎていく。ある日俺は彼女をはじめて知った。俺は光輝とふざけながら、廊下にいた。そしてそのまま、光輝に軽くド突こうとして腕を後ろに振った瞬間、当たったのだ、少し柔らかい感触と共に後ろをふり向くと、髪を2つに結んだ女の子がそこには
いた。
「悪い!大丈夫?!」
「あ、だいじょ「おい、姫〜!何やってんだよ〜!」
その言葉に目の前の女の子は肩をビクッと揺らして、
「ごめんなさい…。」
消えそうな声でそう言うと、彼女は小走りでそこを去った。俺の目の前にぽっかり空いたあの子がいた場所。
「おい、優真〜。どうした?」
そう、光輝に声を掛けられるまで、俺は目の前の空間を見ていた。
「なぁ、光輝…。
今さっき、俺がぶつかった女の子分かる?」
「え……。女の子…。見たことあるけど、名前まではちょっと…。」
「そっか、あんがと。」
「何?気になんの?」
「いやなんか、「姫」って言われてて、その時なんかおかしかったから…。」
「ふぅん、ま、優真の初恋かもしんねーし、探しといてやるよ!」
「は?!お前何言っ「優真初恋まだなの?!」
「マジかよ!好きな奴いた事ねーのかよ!」「もったいねー!」
「う、うるせーよ!黙っとけ!」
恋をするってなんだろう。なんてことを思いながら、その日は終わっていった。
ある日、光輝に言われる。
「あの女の子のこと分かったぞ!」
「あの女の子?」
「はぁ?お前から言ったんだろ、前ぶつかった女の子のことが知りたいって⁈」
「え、あ、ああ!あの子のことか⁉︎」
はっきりいえば忘れていた。光輝に言われて思い出す。怯えた瞳に、揺れた肩。
なぜ彼女はあそこまで怯えていたのか。
「多分、あの子のことだよ。1年A組 佐藤 葵
通称、眠り姫。」
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