第6話 飴と傘

 飴と傘といえばペロペロキャンディーとパラソルチョコ



 何度も食べたわけでもないのに、なんとなく記憶に残ってしまった思い出のお菓子。


 たしかに見た目と味と、可愛くて甘くて好きだったはずなのに、それ以外何もない。甘くて甘くて甘かった。

 お互いに一緒で、どっちもアイスのように溶けやすくて。恋には落ちなくてメルトダウンして消えてしまっただけ。

 お菓子な話だ。

 可笑しな話だ。




 〇〇〇〇〇〇




 結局彼と私は重ならなくて。

 ただ甘いものを一緒に食べた同僚。

 傘ならなくて。それでよかった。アメはアメだし。ザーザーしてもしとしとしてもそれでいいんだ。気まぐれな想いを無理やりこじつけるのだってお菓子い話なんだ。疲れているから振られたからといって、無理やり誰かといなくていいのだ。彼はなんとなくアメに歌れていて、私はなんとなくアメに刺そわれただけ。そして彼を射そって、アメに振られただけ。2人でアメにフラれただけなのだ。


 だから私は言った。



「機会があったらまたね、笠原さん」


「うん。ねえ雨崎さんってさ、アメ女?」


「違うよ?梅雨だからでしょ」


「そっか、もうそんな季節か」


「そう、なぜか結婚式の増える季節」


「出費が増える」


「ねー」


「あれ?ユメ、そんなにカサハラと仲よかったっけ?」


「「そんな仲良くないよ」」


「いやもうそれ仲良いやつでしょ」




 〇〇〇〇〇〇



 私は晴美。いつのまにか同僚の2人がいい雰囲気で、それなのにお互い認めないバカどもにいらいら。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

飴と傘 新吉 @bottiti

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

同じコレクションの次の小説