銃と剣 55

 19:03。


 辻斬り含むREDSPEARのメンバー五名がログイン。

 何か話した後、鞄をREDSPEARの一人が辻斬りから受け取る場面を確認。

 REDSPEARのメンバーが中を物色。

 二個程手に取っている状態。



 幕あけ、辻斬り討伐劇。

 第一章、開演。



 19:05。

 N監修の台本を予定通りスタート。


 春風、A部隊、構え。

 F、上座から下座に向かって走る。

 春風、Fの後20センチ目がけて。

 

『撃てっ!』


 風を切り裂く音がFの後ろからなるが、Fは振り向くことなく、一心不乱に走り抜ける。

 Fは辻斬りとREDSPEARメンバーの視界まで走り抜ける。

 弓矢が地面に刺さる音で、辻斬りとREDSPEARメンバーがFを確認。

 春風、B部隊、構え。

 Fが止まった瞬間、Fの前方20センチ目がけて。

 

『撃てっ!』

 

 弓矢はまた、地面に突き刺さり、まるでFの行く手を阻んでいる様に見える。

 Fは周りを見渡す。

 そして、REDSPEARの方を見る。

 REDSPEARはFを見ている。傷だらけで、追い詰められているFを。

 ここでFアドリブ。弱っていて、とてもピンチである事をアピール。

 

「きゃー! どうしましょー! 妖精王と呼ばれるけど、もうシールドも張れないよー。PIOの副団長がこんな所で負けそうだよー。誰か助けてー。もう、私、やられちゃうわー。このままだとー」

 

 どうせ演技は下手なので途中で切り上げさせる為に春風、A部隊、B部隊両部隊。

 構え。

 N、ここで声を張り上げる。

 

「妖精王は今、武器もなく弱っているぞっ! 誰でもいいっ! 弓矢を当てろぉっ!」


 辺りのビルにより、Nの大声が反響する。

 その言葉に、茫然としていたREDSPEARが武器を握った事を確認。

 春風、A部隊、B部隊。


『撃てっ!』


 F、新栄方面に弓矢を交わしながら走る。

 REDSPEAR四名、武器を持ってFの後ろを追った事を確認。

 N、もう一度叫ぶ。


「栄公園に逃げ込む気だっ! 追えぇっ!」


 春風、PIO配置場所A部隊、B部隊、一同、声を張り上げ、返事っ。

 

「はいっ!」


 ここまでは予定通り。Nが作った台本通り。

 しかし、ここで緊急事態発生。

 台本を確認しながら指示を送っていたPIOの団員が各配置に伝達を行う。

 

『辻斬り、動きなし、繰り返す、辻斬り、動きなしっ』


 繰り返す、緊急事態発生。

 颯太は、焦った声を出し続けている、耳についていたイヤホンを引き抜き、立ち上がり呟いた。


「すんません」


 Fさん、Nさん。これ、実は緊急事態じゃ、ないんです。

 颯太は銃を抜き、階段の上から潤一に向かって引き金を引く。


「!?」


 目の前で起きていた状況をただ、茫然と見ていた潤一は急に鳴り響いた音に驚き、顔を上げた。そこには……。


「颯太……」


 第二幕の幕が上がる。

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