第2話秀才侍女の微笑み
「ハルマ〜起きなさい」
ハナがハルマを抱きながら声をかける。
「う、うぁ〜」
あれ?俺寝てたのか?……おかしい、昨日は魔法の練習をしてたはずなんだが……?
そう言えば、あの後急に身体が怠くなって睡魔が襲ってきたな。
……あぁ、そう言えば魔力を使いすぎると気絶するんだっけ?メンタル的な問題で。
|MPメンタルポイント…か、よく出来たもんだな。
「今日のあなたの朝ごはんはスムージーよ」
「あい?」
スムージー?こんな所にスムージーがあるのかよ。
「森の果実がいっぱい入ってるから、体にもいいのよ!」
「あ、あい…」
おい、目が星になってるぞ。
そんな興奮するとは、流石女なだけあるな。やはり、美容にも気を使っているのだろうか。いや、使ってなかったらこんなに美人にはなれないか。
金髪碧眼のちょっとタレ目。さらさらロングで、身長は一八〇位あるんじゃないか?しかも、色白で顔が整っていると来た。胸も決して小さくはない。大きくもないが…。
そりゃ、あの親父が惚れるわけだ。
赤髪赤眼の切れ長な目。短髪で、身長は一九〇位だ。色は橙色で顔も整っている。ガタイも男のあこがれの肉体美だ。クール系だな。
その二人の息子である長男『クリス』、次男『ゲド』もなかなかのイケメンだ。
長男はハナ似で、金髪赤眼のおっとりした感じで、愛想はすごくある。だから、街の人気者なんだとか。短髪だ。歳は一六歳で身長は一八〇はある。剣術魔術どちらも使えるらしい。
次男はゲルマ似で、赤髪赤眼のゲルマをやんちゃっぽくした感じの顔つき。街では一部に人気らしい。短髪だ。歳は一三歳で身長は一六〇位かな。剣術特化で、将来は剣聖になる……と豪語しているが絶対に無理だ。
そして、二人の娘である長女の『カノン』、次女の『サナ』は二人とも可愛らしい。
長女はどちらかと言うとゲルマ似だな。金髪金眼のクールっぽさを付け加えた感じ。笑顔はまだ、見たことは無い。学校では生徒会長的な存在らしい。さらさらのロング、腰まである。歳は一五歳で身長は一七〇位だ。魔法特化で、既に上級まで習得済みらしい。父は最上級らしいが。
魔法については後ほど。
次女は圧倒的ハナ似だ。金髪碧眼のおっとりした感じだが、お転婆娘だ。実際、街の同年代の中では一番近接技に長けているのだとか。ベリーショートで肩ら辺まで。歳は一〇歳で、身長は一三〇位だ。小さい方だな。近接特化で、既に短剣術、拳術を習得しているらしい。同年代の子は、剣術か拳術のどちらかを覚えてたら凄いらしい。
どうだろうか。ちょっとはこの家族の凄さがわかったのではないだろうか。いや、異様さが分かったのではないだろうか。
ちなみに、魔法は『低級』から始まる。
『低級』→『中級』→『上級』→『最上級』→『魔帝級』→『神級』
らしい。
カノンは今『上級』に位置するが、同年代の子は『中級』が精一杯だろう。凄い子で上級に行くが。カノンはもう少しで『最上級』だ。
異様すぎる。『最上級』は王宮魔導師の最低条件だ。それを既にクリアしているも同然。
『神級』だが、この世界では誰も操れる人は居ないらしい。
なぜ、こんな情報を知っているかというと、カノンとゲルマの会話を盗み聞きしていたからだ。
なんせ、やることがないからな。盗み聞きするしかないんだよ。おかげで耳が良くなったよ。壁二枚向こうの部屋なら余裕で声が聞こえる。
ちなみに視力もめちゃくちゃ良くなった。視力の調整?も出来るようになった。流石異世界だぜ!
「ハルマくん〜おはよ〜」
「あい!」
「サナ今日はスムージーよ」
「えっ!スムージー!?やったー!」
「あ、あい……」
まさか、スムージーがこんなに元気になる言葉だったとは……恐るべし。
----そんなこんなでみんなが寝静まった頃----
ふぅ、ここまで長かったな。やっと魔法の練習ができるぜ。
ずっとハナかサナが付きまとってるし、二人がいなくなったと思ったら、無表情の侍女がおるわで……あの侍女怖い。
そんなこんなで、一人になれる時間が夜だけなんだよなぁ……。
よし、今日も『ウィルウィンド』の練習するかな。
俺は右手を天井に突き出し唱える。
「|うぃううぃんおウィルウィンド!」
すると、昨日とは圧倒的に異なる魔力が放出される。
ゴオゥッ!っという音を出しながら天井に向かって渦巻状の風が飛んでいく。放たれてからおよそ0.2秒後、天井にぶつかる。
ドゴォン!と爆音が鳴る。しかし、それだけで何も起こらなかった。
びびびびび、びびったぁぁ〜〜!!!
なんだよこれ!聞いてねぇよ!てか、昨日とは全然威力が違うじゃねぇか!
こりゃダメだ、終わった。俺の人生終わったわ。絶対今の爆音で誰かが起きるよ……。
コツ…コツ…コツ…コツ…
ほら、足音聞こえてきた……。
この足音は侍女だなぁ……。
と、現実逃避をしてる所に、ノックがなる。
「坊っちゃま。大丈夫でしょうか」
「あ、あい〜…」
「失礼します」
やばいよ。こりゃいけないよ。侍女怖いよ。無表情なのがまた怖いよ。
「坊っちゃま、安心してください。今の爆発音は皆さんには聞こえてません」
「あ…い?」
なん…だと…?
「ふふっ…意味が分からない。って顔をしてますね」
「……?」
あ、初めて笑った……。
いやいや、そういう事じゃねぇだろ。どういう意味だ?今の爆音は侍女以外は知らない?
いや、そんな小さい爆発音じゃないぞ。下手をすれば、近所まで聞こえる爆音だぞ。
それか何か?この家には防音装置でも施してるのか?……いや、それは無いはずだ。家の外のガヤガヤ声は、いつもここにいても聞こえていた。
どういう事だ……。
「ふふっ、まだ分かっていらっしゃらない……って感じですか。では、ヒントを差し上げましょう。私が今ここに来て、爆発音を私だけが聞こえていた……わかりましたか?」
「!?」
まさか……侍女が言ってることを直訳すると。
まず、侍女しか聞こえてなかった。つまり侍女が何らかの魔法をこの部屋に仕掛けた。そして、侍女がここに来ている。つまり俺に何かをしようとしている……?いや、この場合何かを知っている?
「ふふふ……お気付きになりましたか?そう、私は坊っちゃまが既に物心がついている事を知っています。それに、"常人"にはない考える力があることも。そこら辺の赤ちゃん……いえ、そこら辺の子供では思いもつかない様なことを思いつくことも知っています。気付いたのは、昨日坊っちゃまが魔法を使った時からです。」
なんだと……?魔法を使った時から?いや、それはおかしい。なぜ魔法を使ったのが分かった?俺は自慢の聴力を使って近辺には人がいないのは分かってた。なぜ、侍女は気付けた?いや、考えても見ろ。
この部屋の近辺には誰もいなかった……はずだ。はずなんだ。確証はない。だって、人の気配はしていたような……あ〜もう!分からなくなってきた!
「ふふふふ…混乱していらっしゃるようですね。混乱してるっていうことはそれ程深く考えてるってことですよ。」
ニコッと笑いながら言う。
「深く考えなくてもいいですよ。答えを言うならば、私がこの部屋に防音と、外壁強化の魔法を施しただけですから。実は、私はいつもこの部屋の隣の部屋に居たのです。気配遮断と言う技を使って潜んでおりました。あくどいやり方をしてしまい、申し訳ありませんでした」
そう言い、ペコりとお辞儀する。
まじかよ……実はこの侍女って凄いやつだったのか?
でも、まだ俺が転生者って事には気付いてないようだな。これで一応は一安心。
んでまぁ、俺の事を悪用しようとして無いのも
「あっ、私は坊っちゃまを悪用しようとは考えてないので、安心してください。それと、今暇でしたら、何かお教え致しましょうか?」
「あい!!」
まじか!こりゃありがたい!何を教えてもらおっかな〜。
と、考えてるハルマであった。
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