第8話 神々の戯れ

 ぷにゅ  ふにっ


 態覇の両手には紛れもない女の子の胸の感触が。


 ふにゅっ ぷにっ


「先輩...女の子だったんすか...?」


 柔らかく。


 ふみゅ ぷみっ


「まぁ...うん...」


 どこか弾力がある。


 ぷむっ....


「それより...」


 ...


「いつまで、揉んでるの....」





「はっ、」


「すっすみませんっ」


 態覇は慌てて、手を離す。



「どうして、男のふりしてるんすか?」


「ふりではないよ。」


「へ?」


「正真正銘、僕は男だよ。」



 ...唖然とする態覇。


 しばらくの間の後に、


 態覇の脳裏に一つの答えが浮かんだ。



両性どっちもさんすか?」



「...うん。」



「ほえぇ....」


 現状を読み込めずにいる態覇に、真は確信をもたせようと


「なんなら確認してみる?」


 と、自分の股間を指さす。


「え...あ、え?」


 態覇は少し動揺を見せはしたが、すぐに真の股に手を当てた。


「まじすか...」




「え、エッチなお願いとか聞いてくれたりするっすか?」


「おい、調子に乗らない。」

 真は笑う。



「男でもあるけど・・・」

「女の子でもあるんだよ?」


 真は首まで伸びたもみあげをいじり、恥ながら言う。

 態覇は思った。



 ──────なんだこれ、可愛すぎる。


 真のその姿は、神がかるほど可愛いものであった。



 ────────────────────────



「はいっ!」


 二人は目を合わせた後に、婆ちゃんの方を向いて、喜んで答えた。


「二人とも疲れてるでしょう、今日は休みなさいな。」

「今からご飯作るからまっとれ、明日からは手伝ってもらうよ」



 ....台所から料理する音が聞こえてくる。


「彩海...」

「家族は...無事なのか?」


 海守がうつむきながら心配そうに聞く。


「うん...多分、無事だよ...」

「...そうか....心配してるよな...」

「うん...」


 二人の空気は悲しくなる...


「でも」


 彩海が切り出す


「海守といるのも楽しいと思う...」



「...いつか、家族に合わせてやるよ」


「本当?」


「ああ!」


 海守は笑いながら誓った。


「それに」


「彩海の家族にも会ってみたいしな」


 二人は笑い合う。


「私の家族ね、」


 彩海が楽しそうに家族の話を始めた。

 聞いている海守も楽しかった。

 二人の幸福な会話は、二人の現状を忘れさせてくれる。



「ご飯、できたよ。」


 婆ちゃんが料理を食卓に運んできた。

 香ばしい焼き魚の香りが広がる。


「わぁ、おいしそう!」

「久しぶりに見たけど、やっぱりうまそう!」


「いただきます!」

 二人はよろこんで両手を合わせた。


 さっそく海守が主菜の焼き鮭を口に運ぶ。

「うまい!」

 彩海が続けるように

「ご飯と合う!」


「でしょう。」

 婆ちゃんが自慢げにする。



 柔らかい身に、しょっぱ過ぎない味付け。

 米は少し固めだが、だからこそ柔らかい鮭と合う。

 副菜のホウレンソウは、良い歯ごたえで、苦みがほんの少しあるが、それがいい。


 二人はの手はどんどん料理に運ばれてゆく。





「ごちそうさま!」


 あっという間に食べ終えた二人は、そろって食事に感謝をこめた。



「お風呂、湧いてるからはいってきなさいな。私ゃもう入ったから。」

「もちろん、彩海ちゃんが先ね。」


 婆ちゃんが、彩海を浴槽に連れていく。

「海守、食器かたしといてな」

「わかった」


 婆ちゃんは彩海を居間から少しだけ離れた浴槽に連れていく。


「彩海ちゃん。」

「何ですか?」

「海守はね、いままで普通に笑ったりはするけど、どこか楽しくなさそうな感じだったんよ」


 婆ちゃんが彩海に海守について話し始める。


「本人も言ってたけど、本当にやりたいことがみつからないって。」

「そうなんだ...」



「でも」


「彩海ちゃんといるところを見ると、心から楽しそうに見える。」

「だから、これからも海守と仲良くたのむね、彩海ちゃん。」


 婆ちゃんがほほ笑んだ。


「はいっ」


 ...彩海もほほ笑んで返した。


「さぁ、ここが浴槽。あったまりなさいな。」








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創神紀 竜風 真 @shinmayumako

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