15 再考 - Reentrant - a
「
暗がりで、椅子に腰かけたスーツの男がしゃべる。
「ハッ、UTMごときでどうやって
向かいに座っている男が
「どうもそうらしい。バカげた話だが、だいぶ強力な製品を導入するそうだ」
この発言に向かいの男が身を乗り出す。
「日鳴の製品か?」
「いや、
「どういうことだ? パソコン教室がなんでそんなモノを開発している?」
「それはまだ
「了解した」
くいっと中指で
「そういやぁ情報漏洩の件、週刊
週刊ARIKIというのは、大手出版会社、
「ああ。あと一日、二日したら病院前は騒ぎだろうな。対策を練る間もなく記者会見だろう」
「くくくくッ、それは見物だな。なぁ、俺も見に行ってみてもいいか?」
男は
「やめておけ、敵の
注意してみて、ふと男は思案した。
「いや、待てよ、それは使えるかもしれないな」
野次馬になることが決め手になるとでも言うのか? 向かいの男は疑問に思った。
「いや違う、野次馬になりに行くわけじゃない。我々は製品の提案をしに行く」
男の主張がますます理解できなくなった。
「製品て、なんのだ?」
「UTMだ」
「それなら双海には新しいのが入ってるって話じゃないのか?」
「ああ。だが、UTMなど
男は指を立てて話す。
「そこでだ、日鳴の製品がいかに使えないかを病院側に見せつけたうえで、うちの製品を
冗談で話していた野次馬の話をクルッとひっくり返して、次の戦略としてしまう手腕には誠に
「……だが、日鳴の製品が思いの
すると男は
この笑い声には
ずり落ちそうになる眼鏡を押さえる。
「
……欠陥がなければつくればいいということか。
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