10
「んがはははははっ! ちと降り方が激しすぎるな、このスライムは! がはは!」
「むふぉーふぉふぉふぉ、ほ?」
「んん?」
土煙が晴れ、大きなスライムにのって現れた二人を取り囲むのは救護施設を守るアルクス達。
スライムに乗って
「がはは、スマンスマン! だが何もない位置に落ちてきたのだ、それで勘弁してくれい――ここを今、取りまとめているのは誰かな!? 責任者と話をさせてくれ!」
「おい、一体何が――――って。デ、デーミウール学長!?」
「あッハーァ! ファウプ先生もいるじゃないの!」
「むふぉーばふぉー」
片手でふかしていた長い長いキセルをふりふりとしながら、茶色いローブを着た
それを肩に置いた
「あッハッハーァ! 死にぞこない共がみんな生きてた!」
「がははは! それだけ
「もふぉふぉふぉ」
「おう、ファウプ先生もそう思うか! がははは!」
「い、いや、というか……学長、敵にグウェルエギアを壊されてから今まで、一体何を!?」
「おん? 決まっておろうが、大学の貴重な資料や論文、そして――絶対に必要になるコレを、必死で守っておったのよ!」
「ふぉ!」
『!!』
ファウプの合図と共に、べ、とスライムが長い舌をのぞかせる。
その上に乗っていたのは、大学の医療設備を探しに行かせたアルクスと義勇兵数名と――何やら大がかりな機械だった。
その機械を一目見て――バニングが両目を
「これは――大学府の医療設備!?」
「すべてをかき集めるのは大変だったし、破損も少々あるようだが――魔力さえ入れてやればまだ使えるのは確認してきた――ファウプ先生に感謝せいよ!
「ふぉすふぉすふぉ」
「大丈夫だ、まだ機能は生きてる――ありがとうございます、ありがとうございますファウプ先生、学長!!」
「儂はちょっと重いのを手伝っただけよ!――だがこんなにも時間がかかった。まだ助けられる命はあるか!」
「ええ、ええ――これなら辛うじて、イグニトリオ君の命だけは助けられるかも――」
「
『!!?』
全員が聞き慣れない声。
声がしたのはその場の片隅、わずかに差したテントの影。
ずるり、とはい出るようにして――ディルス・ティアルバーは救護施設に現れた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます