8
――ココウェルの悲鳴。
振り返った先の煙の中へ、彼女と共に飛び込んでいく人影。
煙がゆっくりと晴れていき――その姿は現れる。
それは見たことが無い
ほぼ同時に、ペトラと黒装束が人質の首筋にナイフをあてがった。
「嘘っ、気配が全く――」
「
「
ココウェルに一番近い位置にいたリリスティアが初めて
あの仮面、さっきシャノリアが相手をしていた奴とは違う模様だ。
三人目の黒装束――馬鹿な、こいつは商業区にいる
――背筋が、ゾワリとした。
「――貴様ッッ――」
ペトラの声が怒りと絶望を帯びる。
「――
『解放しろ。
ペトラの問いには答えず――機械音声が淡々と要求と、現実を突きつける。
『人質の価値くらい理解できるだろう?
「……!」
……そうだ。
見た目には、互いに一人の人質を取っている。
だがどこの馬の骨とも知れない女と一国の王女では、
だが――――
「……
『!』
「アマセ……!!」
……表情を見ずとも
人質を渡した所で当然ココウェルは解放されず状況は悪くなるだけ、だが万が一にもココウェルに死なれる訳にはいかない。故に渡すしかない。
その
だが違う。
分の悪い賭けではあるが――――恐らく
「大丈夫だ。こいつらにココウェルは
◆ ◆
「……もうもちません。この子は」
「あッハァ……頑張ったわよォ、アンタは。そう悔やみなさんな」
学園区、救護施設。
グウェルエギア
「リシディアの医学者でありながら……肝心な時に無力とは……!」
「仕方ありませんわ。急ごしらえのテント張って、ろくに設備も薬も無い中で、知識と自前の魔力を使った魔法だけではどうしたって限界があります」
どこか冷たく聞こえる声で応えたのはプレジアの医務教諭パーチェ・リコリス。
バニングが
「チッ……せめて、大学府の医療設備がこの場にあれば……!」
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