24
――少女の胃が重くなる。
思う。
なぜ、こんな気持ちにならねばならないのかと。
勝ったのは自分たちだ。
勝ち取ったのも自分たちだ。
彼らは国を滅ぼそうと、ココウェルを全裸に
山のように傷付けた。
山のように壊した。
それが悪でなかったら、一体何が悪いことになるのだ。
なのになぜ――まるで自分が彼らを殺す、殺人者であるかの、ような――
「…………兵士長、」
「
「ぐっ……!」
「ッつァ……!?」
ガイツが人差し指を向け、ノジオスを拘束する。
アティラスもまたマトヴェイを拘束した。
「今度は同情しようってわけ? 勝手気ままでいいですわね、お子さまは」
イミアの言葉が少女に刺さる。
ノジオスの言葉が少女を貫く。
〝助けるべきじゃない人間なんていないッッッ!!!〟
マリスタの言葉が、少女の顔を無力感に
「希望的観測を述べるつもりはない。悪いが貴様も息子も処刑は
「…………」
「……ボルテール兵士長、応答を。…………? ボルテール――」
魔力を感じない、黒く小さな塊が、投げ込まれた。
『――――――――――』
全員が力を出し尽くしていた。
全員が警戒を解いていた。
故に気付けなかった。
強者たちの中心で、目を耳を引き裂くような音と光が、
「きゃあッ――!!?」
「なッ――」
「ッッ!!!」
「ぐおっ!?」
「なああっ……!?」
「なッ、なん――」
「……!!!」
(全く魔波を感じなかった
光が消え、音が消え――耳鳴りが止まないうちに、視界が戻る。
そこには強者達の中央からノジオスを奪い取り、手の届かない遠くで組み伏せた一人の黒装束の姿。
ノジオスの
「――おやじ、」
『――――――――』
マリスタがノジオスを見た。
ノジオスがマリスタを見た。
あまりに一瞬で、彼らは互いを見るしかなかった。
だがそれが、小男の
「――――――まとヴぇ、」
「――――――――――――――――、、、、、」
言い切らぬ、うちに。
白き剣光が、ノジオスの首をあっさり
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます