7
「――どうするのです?」
「なあに……城の立て直しに、巻き込んでしまってはまずいのでしょう?」
「っ――解りました。すぐに手配します」
「お願い致します」
ディルスがレヴェーネに視線を戻し、今度は手に光を宿らせてレヴェーネの顔に触れる。
ココウェルは彼の下を離れ、近くで――破壊された城門前の石橋の
「マズいのでしょうって、そんなの当たり前に決まってんでしょ……ナイセスト!」
「――なんでしょう?」
「何をしていたんですか?」
「魔波感知を。何がご命令が?」
「ディルスが城を修繕すると……そのためにけがをした人々を、ここへ運んでほしいのです」
「けがの無い者は?」
「私が声をかけて回ります」
「では先に各階の階段を修復して参ります。殿下は先に一階を」
「頼みます」
各階でけが人を見る王宮魔術師らに声をかけ、全員を一階へ集合させる。
すべての生者を集める為、ココウェルはすべての死者をも確認させた。
王城に避難した一般人の、およそ半数以上が命を落としていた。
(……半数近くを救えた、などと胸を張ることは到底できない。わたしは……わたし達は、半分以上の命を救えなかったのよ。ねえ……父さん。一体どこに行ってしまったの?)
「……でん、か」
「っ!」
いまだ倒れたままではあったが――顔や体の
「ありがとう、ござい、ます」
「喋らなくていい――よくやってくれました、ディルス・ティアルバー」
「有り難きお言葉。少々、寿命は削れたでしょうが……麻痺さえ解ければこれまで通り動けるでしょう――さて。生き残った国民はこれで全部ですかな」
「――その通りです。既に応急処置は施されています、とにかく国民たちを守れるように――――ッわァっ!?!?」
ココウェルが答えた直後。
王城の砂色の床、全面が黒き
「きゃあああああッッ!!?」「な、ななな、」「なに、何が起こってるの――!?」「うわあああんっっ、おかあさああああん!」「お、おいおいおい崩れるんじゃないだろうな、これ――」「何しやがったんだティアルバーめッ!!」
「いや――――皆落ち着いてください! これは……!」
「
闇の光の中心で、ティアルバー家の当主が笑う。
「今一度ご覧あれ。
地響きと光の中――――空が消えていく。
ずたずたに引き裂かれた赤く光沢さえ放つ
その一筋の
あちこちで城を支える柱には
復活したロビー中央の噴水は再び
斬り裂かれていた
倒れ崩されていた
足元に光る数々のシャンデリアは天井から再度人々を照らし。
「…………!!!!」
「――こんなものでしょうかな」
ものの、二分もしないうちに。
ヘヴンゼル城は、リシディア建国以来の姿をすっかり取り戻していた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます