6
「ご安心ください。この男は、」
「どうしてそんなことが言えますッ!? 独房を作り替え、枷もされていないということは魔力も使えるこの男が――」
「この男は、
「……え……?」
「……
「!(こいつも私を……)」
「呵々。『何故私を』という顔をしておいででしょうな。……存じ上げておりますとも。とてもね」
「……?」
目の前で
ココウェルはいよいよ困惑し、ナイセストに視線を送るが――等のナイセストは目をつぶり、ディルスと彼女の会話を邪魔すまいと立っているのみだ。
「……協力を。していただけるのですか? あなたも」
「なんなりと。ですがよろしいのですかな」
「……非常時です。あなた方を解放するのは一時的な措置であると、わたしから王には――」
「王がそれしきで、殿下をお許しになればよいのですが」
「……それはわたしの問題です。あなたが気にすることではありません」
「……
――ココウェルがつい先ほどまで捕まっていた老騎士、フェゲンと似た笑い方をする男。
しかし感じられる印象は、その気品は、ただ歳をとっただけの老人とは一味も二味も違っていて、ひざまずいていながら
「格」の差。
ココウェルはそれを、この時初めて目にした気がした。
「さて。かような場所では音も届かぬでな……一体
「見ればわかる。ともかく一緒に来い」
◆ ◆
「……成程。かような状況でございましたか」
ヘヴンゼル城、城門――否、
今もなお崩れ続け、
「きっともう彼には時間がない。だからお願いです、ティアルバー。彼を今すぐ――」
「そうですな」
ディルスが言い。
右手の親指以外を、レヴェーネの額に
「ッ!? 何をッッ、」
「おお、幸運な――ここまでの
突き入れた指の隙間から、闇が
体を一際小刻みに動かして――――レヴェーネ・キースはピクリとも動かなくなった。
「……どうして……どうして殺したのですッ!!」
「
「ま。麻酔?」
「体の感覚を
「これと同じ……」
「すぐ済みます――その間、殿下にはお頼み申し上げたいことが」
「っ、何でしょうか?」
「人を。この城にあるすべての者を、ここに集めていただきたい」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます