第78話 勝たなきゃいけないんだッ!
1
「お、おい待てよ姉貴っ。何をそんなにあわててんだ」
「これ持っててトゥトゥ!」
「おわ!? っおいおいこれ高い
「トイレはそっちだとかくにんしたでしょう、あねさま」
「もれそうなワケじゃないバカッ! いいから早く引き上げの準備を急ぎなさい!」
倒れたヴィエルナ達の目の前で、カシュネが二振りの三つ編みを振り乱しながら方々へ指示を飛ばす。
無論、全ての成果を
「……こえーだろ。|モノホンの大貴族様ってのは」
「!」
「黙ってろジジイコラ。まだ立場が解ってねぇみてえだな――なあカシュネ、目玉の一つくらい無くなってても」
「いいから急ぎなさいッ! かまうなそんなのに――」
「もう
『!』
「
「テメェ――」
「ねえあねさま。バンターは?」
バンター、という言葉にトゥトゥが動きを止める。
聞き慣れない名にプレジア勢も沈黙する。
カシュネはミエルの目をしばらく見つめ、――ややあって
「……合流するチャンスはいくらでもある。大丈夫、大丈夫だから……今は自分の命だけを考えてミエル。私達は生きなくちゃいけないんだから」
◆ ◆
「…………なんだ、その状況は」
のどからしぼり出すような声で、ノジオスが言う。
城にいる
球状の
たった数分前まで
映像が突如、拾い上げられ――――
「貴様……やはりティアルバーのッッ、フェゲンを一体どうしたッ!?」
『何を
冷たく、そして強い声が全国のメディアを飛ぶ。
彼の背後に倒れた数多の悪漢達が、その説得力を更に強化する。
そんな声の前に、ノジオスの怒号などまったく意味をなさなくなっていた。
「何がリシディアの民だッッ!! 国を衰退させた戦犯貴族が今更何をっ、」
「リシディアを救う」
どこまでも通る静かな低い声が、確実に人々の鼓膜を叩く。
「手足がついているのならどこまでも
「――――なにがッッッッ、」
「『国を救う』とはそういうことだ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます