11
「あんたがココウェルの何を知ってるってのよッ!!!? これだけ王都をメチャクチャにして人を殺してココウェルをさらし者にしてッ、さんざん人をバカにするけどあんた自身はどうなのよッッ!!? あんたの子どものマトヴェイ・フェイルゼインはココウェルの数万倍も数億倍もクズだったじゃないのよッ!!! お前だって王の器じゃないのは明白なんだよッッ!!!」
「解っていない――――まったく解っていない
「ッ――――!?」
砂嵐。
巻き起こる魔波の主は機神か、はたまた小男か。
「四十年もの長きに渡って我々を混迷の渦に閉じ込めておいてッ! 我々の力を奪っておいてッ! 一部の特権階級の者達の私腹を更に肥やすばかりを繰り返したッ!! 四十年だぞ――四十年だぞッッッ!!?!?!?!? どれだけ我らが貴様等にすがりチャンスを与えてきたと思うッ!!? その信用を・祈りを・どれだけ・どれだけ
「…………(知らない。そんなの……私もココウェルも知るはずないのに!!)」
少女達は知らない。
だが――――「知ったことか」で済もうはずがない。
「……マシなのだよ。たとえ我らがこの直後に倒れるような脆弱な国しか造れなかったとしても――今のままの国で在り続けるより、遥かにな」
「ツケを払うときが来たのだ。いい加減に」
カラン、と。
王女の
「…………、」
ココウェルがそれを認める。
それは
国中に滅亡を知らせる、大きな大きな白旗。
「さあ掲げろ。自らの手で――――この忌まわしき国の息の根を止めろ。リシディアよ」
◆ ◆
もう、自分がどうしてここにいるのかも分からない。
足から流れ過ぎた血は今でも止まってくれなくて、あぁ血は本当に命の
小さな血だまりに長い剣が映る。
わたしの片足の指を全部奪ったその剣が怖くて怖くて、わたしは慌てて行動を開始する。
敗戦。滅亡。白旗。王女。
そんな状況で何がやれるのかだけは、わたしにだって理解できた。
足の無くなった足で、立つ。
白旗を引きずり、陽光差し込むバルコニーへと歩いていく。
もう、ダメだろう。
泣くとか痛いとかではない。
もうわたしは終わる。もうすぐ死ぬ。
国を滅ぼした王女は、もう王女ではなくなる。
ただの、公衆の面前で
役目はただ一つ。過去の
わたしの命は、リシディアの借金のカタに
笑える。道化過ぎる。わたしの命の意味って何だったんだ?
もう、絶望する気さえどこかへ消えて失せてしまったけど。
あごの下で、いまだ
血の止まらない足は一向に痛みが引かず、いまだにわたしを苦しめてくる。
いっそ出血大量で死ねれば。
瓦礫の崩落で死んでいれば、アヤメに殺されていれば、部屋に押し込められるだけの人生だと気付いたときに自殺していれば――こんな余計な
何度も聞いた金属音が背後からわたしの
あの音が鳴るたびに、わたしは足の指を失い続けた。
わたしは今、また何か足を落とされるようなヘマをしているんだろうか。
もはや現実感も薄い状況で、正しい歩き方など思い出せない。
ああいや、違う。
きっと
白旗をはためかせた後――――わたしはこのジジイの剣で、リシディアの罪を一身に背負って斬首される。そういうシナリオだろう。
民衆を焚き付けるにはもってこいのやり方だ。
もういい。
もうなんでもいい。
どうでもいいから、さっさと殺せ。
殺してくれ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます