6
ザパン、と荒々しい水音をたててフェゲンの視界に現れた
泳げないのか、余裕なくせきこみながら必死で壁にすがりついたココウェル・ミファ・リシディアは、フェゲンの姿を認めて小さく悲鳴を上げ、また少し
「……それを悪運と言うのか、強運というべきか。カカカ」
「うぃグッ!? ――け゜っ!?」
ココウェルのあごを雑につかみ、水中で
舌を
「――そうか」
すぐさま耳に入ってきたのは、いくつもの小さな悲鳴。
次に目に入ってきたのは入り口近くで事切れた「
「このような終結か。貴様との戦いは」
落胆のにじむ声でフェゲン。
そのけがは一目見て、彼がしばらく意識を取り戻すことさえないであろうと知れるほどのものだった。
全身が焼け焦げ、火傷を通り越し炭化している部分さえある。
エネルギーの圧に揉まれる中でズタズタに
(……こやつはあのエネルギーに真正面からぶつかっていった。ここまで城下町を破壊してなお爆破することのなかったあのエネルギー弾がこの城で爆発し消えたのは、恐らくこやつの「隠し玉」によるものなのだろう。だからこの程度の被害で済んだ――こやつも城も、民間人も)
疲れた目を民間人に向ける。
生き残っている民間人がびくりと肩を寄せ合って壁際に下がる。
その手前には、彼らを守ったのであろう
恐らく死んでいる。
「……城の全壊を防ぎ、大勢の命を救った、か。まさしく英雄というやつだのう。惜しむらくは、皮肉にもそのおかげで
〝何故、お前ほどの頭脳を持つ者がこんな
「……このような者ばかりであれば、あるいはこの国も違っていたのやもな」
つぶやき、足元でうめいていた悪漢を長剣で刺し起こす。
その悲鳴と光景を見た悪漢が次々傷だらけの体に
「さあ起きろ。王を探せ。城はこの有様だ――案外もう、我らが
◆ ◆
いつだったか資料で見た、爆弾によるキノコ雲を思い出す。
俺の世代の者には
次いで爆音。爆風。
遅れて吹いた爆発の影響による突風が辺りのテントを激しく揺らし、外に砂嵐を巻き起こす。
俺はフードを
あの「爆弾」が放たれた場所――――トルトらが戦っているという王都
「爆弾」が
城があった、方向?
(じゃあ、ココウェルはもう――)
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