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 勇気と決意、そして少しの恐れが垣間見かいまみえる、若者の瞳。

 正義漢と使命感ばかりが先行し、勢い以外は何もない思春期をこじらせた学生の群れ。



 彼らは学生だ。

 ほとんどの者達が能力としてアルクスにおとり、また社会的に責任を取ることが出来る者も存在しない。ともすれば敵側である可能性もある。

 国家の根幹こんかんさえ揺るがす可能性さえあるこの戦いに、そんな烏合うごうしゅうを組み入れるわけにはいかない――――そう考え、ガイツはずっと学生達を遠ざけ信じず、自棄やけや勢いに頼った自殺行為を防ごうと監視かんしを続けてきた。



〝苦しみながら今までの自分と戦いながら変わろうとしてるんですッ!! それを、それを――〟



(だが、現実に今こいつらは行動を起こしている。攻めあぐねていた我々と違い、作戦を立て、たくさんの仲間を――――)



「ハっ。まさかあんたと一緒に作業する日が来るなんてね、メルディネス。お友達が心配でしょうけどこっちにも集中してよね」「わかってるのだわ。あなたこそ変なヘマをしないでよね。……期待しているのだから」「…言ってくれる!」



「謝り続けていくよ。これまでのこと全て。だから……」「それはこっちも同じだ、オーダーガード。同じ次元でいがみ合ってたんだから」「……ありがとう、バンテラス君」「こちらこそだ。だから精一杯やってやろうぜ。この任務が貴族と『平民』の、最初の共闘きょうとうだ!」「ああ!」



〝謝ってくださいよ今言ったことッ!!!〟



「すまなかった」



 ――――風紀委員ふうきいいんしつじゅうの目がガイツに集まる。

 しかし頭を下げた兵士長へいしちょうの姿を皆が目に焼き付けるより早く、



「作戦はここからが本番です、皆さん。どんな些細ささいなイレギュラーも見逃さないよう、任務に集中してください」



 ただ一人その言葉を背中で受け止めたリア・テイルハート風紀委員長が、皆の意識を作戦へと引き戻した。



『――――了解!』



 再びさわがしくなる室内。



 ガイツはゆっくりと顔を上げ、歩き出し――――風紀委員長の横に、並び立った。



「それで。我々はどう協力すればいい・・・・・・・・・、委員長」

「主に第二層を警備する風紀委員と義勇兵ぎゆうへいコース合同班の遊撃ゆうげきをお願いします。二層以外の場所も警備が薄いので回っていただけると」

早急さっきゅうに手配しよう」

「が、ガイツ……」「兵士長……!」



 背を向け、委員会室を後にしようとするガイツ。

 今度はリアがその背を見送る番だった。



「ありがとうございます。学生わたし達の作戦を認めてくれて」

「…………無駄口を叩かず任務に集中しろ。国家の大事だ、わずかの油断も許されんぞ」

「……はい!」

「了解っ」



 兵士長の意気に、風紀委員長と生徒会長が応え。



 作戦本部は、本格的に始動した。

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