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「休学していたせいか、お前も忘れてしまったようだな生徒会長せいとかいちょう。いち委員会である風紀ふうき委員会いいんかいが、何故なぜ殊更ことさらに生徒会と同等の扱いとされるのか。それは学生共が空気を読みあった結果でもなんでもなく、文字通り彼らがプレジアの守護・・・・・・・を任されているからだ」

「二十年前、プレジアの創設そうせつと同時にリシディアの政治体制が……といっても軍部くらいのものでしたが変わって、貴族は個人的な軍隊を持てなくなった。要するにシゴトを失った貴族のぼっちゃんじょうちゃんの受け皿的役割を果たした、寄せ集めの自警団じけいだん治安部隊ちあんぶたい……それが今の風紀委員会の前身だって話でしょ。耳にタコできるほど聞いてますよプライベートでも話されることですもん」

「成程、ではただの馬鹿なのだな貴様等は。風紀委員に求められる素養をわかっていながら、こんな何の権威けんいも実力も無い女学生を頭にえたのか」

「いやいや――」

「違いますよ」



 リアが制するように手を伸ばし、ギリートの前に出る。



「ちゃんと選ばれたんです、私は。風紀委員会の総意そういで」

「黙っていろ女学生。俺は今生徒会長と話を――」

「女学生って言うの止めてください。私は風紀委員長です」

「解ったから黙っていろ。邪魔だ」

「黙りません。その質問は私が答えるべきことです。風紀委員長の選定に会長は関わっていないんですから」

「この女学生を下がらせろ、お前達」

「!」

『はい』

待て・・



 ずしりとしんの通った声が、アルクス隊員の動きを一瞬止める。



 そのかんに、風紀委員ペルド・リブスは委員長のかたわらに立った。



「『待て』だと?」「貴様、それは私達に言ったのか学生風情ふぜいが!!」

不当ふとう実力じつりょく行使こうし校規こうき違反いはんだ、そのくらいもわきまえないのかアルクスとは。そして勘違かんちがいしているようだが、俺達風紀はアルクスの手下じゃない。礼節をもって接して欲しいなら同様の礼を示してみろ。――それとも俺達のようなガキに礼節はいらないとでもいうのか!? 答えてみろッ!!!」



 押し黙るアルクス達。



 眉根まゆねを寄せたガイツを、リアは静かに見返した。



「……『傲慢ごうまん浅薄せんぱくに満ちた温床おんしょうで肥え太』っている」

「――何」

「以前、兵士長がくださった・・・・・言葉です。でも――傲慢ごうまん浅薄せんぱくに満ちた温床おんしょうで肥え太っているのは、一体どちらでしょうかと、そう思えてなりませんね、これでは」

「………………」

「……私達を子どもとかろんじてないがしろにするのはやめてください――――そうした姿勢こそが、ナイセスト・ティアルバーをいただくプレジアを生み出したのだと、私達も学んできました」

「――――……」



〝でももう今は変わったんです!! いいえ、変わろうと頑張ってるッ!!〟



(――あの時のアルテアスの小娘と、同じ目をしている)

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