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 視界に、あるべき光景が戻ってくる。

 舞台。舞台セット。そして――困惑の表情でこちらを見る、観客達。



 俺がいるのは舞台のはし。本来居ていい位置ではない――――恐らく、向かいの端にいる客からは見切れてしまって見えていないだろう。

 だが――



「我が炎を耐えたとはいえ、もう限界ではないかな? 残念だがこの程度では――」

「――『なあに。人間はこんなものじゃないぞ、ゼタン!!』」

「!」



 ――お前の優勢はここまでだ、ギリート。



 定位置に戻る・・・・・・



 剣を構え――演出として現れた青白い光に乗せ、ゼタン本来の立ち位置・・・・・・・・・・へと飛び掛かっていく・・・・・・・・・・



「――――、」



 目を見開き、ギリートが慌てて定位置に戻ってきた。

 瞬間、



 俺は演出から外れ・・・・・・――――剣を話した右腕のひじを、勢いそのままに深くギリートの腹部へ打ち込んだ。



「っうぉ……、」



 即座に対応、飛来するギリートによる演出外の攻撃。

 俺は再び演出に戻り・・・・・――――監督、そしてギリート本人とも擦り合わせた計画プラン通りの振り付けこうげきを行う。



「ぬ、う――」



 計画プラン



「くっ? ぉ――」



 計画外アンプラン



「っ!? ぶ、づ――チィッ、」



 計画プラン――



「ッ!! う、ぐぁ……!!」



 ――盾の砲手エスクドバレット計画プラン計画外アンプラン――――!!




◆     ◆




「な……何ですかディノバーツ先生、あの動きっ」

「……プラン通りの動きと、それ以外の動きを……」

「そ――即興そっきょうで組み合わせてるっていうんですか?!?」

「うるさいマリスタっ、声小さくっ!――――演出えんしゅつはん、止まらないで! この先もすべてプラン通りに続けて! いいわね!」

「は、はいっ」

「マジかよ……アマセの野郎、どうやってあんなッ……!」

「……考えられねーことでもねーぜ、ビージ」

「は……?」

「ケイ、ずっとアルクスに監禁かんきんされてた――その間、何もしなかった、とは……思えない」

「……演技の反復をしてたってか? だがよキース、それだけであんな変則的な動きが即興でできるワケ――」

「あの動き自体。練習してたのかもしれない。学祭がくさいまえから、彼とイグニトリオ君の、戦い。約束だったから」

「や――約束だァ?」

「なんでオメーがそんな約束を知ってんだ、って話は置いとくとして……覚えてねーかビージ。あいつ、似たようなことをナイセストとの試合でもやってただろ」

「ティアルバーさんの?」

「今、奴が出してた・・・・のを見て、俺もピンと来たんだがよ――ほぼ見えねえ物理ぶつり障壁しょうへきの弾丸、盾の砲手エスクドバレット。ナイセストとの戦い、あいつはアレを即興で的確な位置に展開してナイセストを追い詰めた。魔法の展開てんかい座標ざひょうを固定するための演算を、ナイセストを相手取りながらやってのけたんだよ」

「……! じゃ、じゃあ今のアレも――」

「ううん。今のアレ、更に――」







「……三つもかよ。ホントムカつく奴だ」

「三つって……なんのことだい、テインツ」

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