13
どんな借りの返し方をすれば、彼女は
〝ただ学祭
ただ学祭巡りをしている。シータはテインツにそう言った。
軽食を
(メルディネスさんは……どうやって借りを返すか、決めてるワケじゃないのか? だったら、それを決めるのは……)
――目の前の牛串を
香草の香り高くスパイシーな
〝どう? 改めて考えても――今の状況って全部、あなたのせいじゃない? あなたは思い上がりで人を傷つけて、家の名にも風紀委員の名前にも泥を塗った。だから裁かれ、相応の結果が訪れた。そこには何の
――あの日の、暮れから。
テインツは、「貴族」という存在はこれから変わっていくのだと、希望を感じていた。
「
でもだからこそ、今度こそ誰にでも顔向けできる「立派な貴族」を目指そうと。
このプレジアを、今度は自分たちが変えていこうと。
「貴様等にそんな資格はもう無い」。
そんなことを思われているとは、つゆ知らず。
許されると思った。
それ自体が
故にペルドは、風紀委員会の消滅を考え。
風紀の面々は、アルクスから学祭の警備を外されようと、押し黙っていた。
〝散々血を見せた元凶、
〝ドンゾコなんだよ、お前らの信頼は。信用してくれると思うこと自体がおこがましい〟
――考えれば考えるほど、当然で。
考えれば考えるほど、思考は絶望に沈む。
テインツはもはや、ただ目の前のそうした感情に向き合うだけで
(……ペルドの言う通りかもしれない。だってそうじゃないか。僕らなんてもう、誰にも――)
「『僕らなんてもう、誰にも必要とされちゃいないのだわ』、みたいな顔やめてくれる? メシがマズくなるのだけど。
「え――――うわっ!?」
顔を上げたテインツに向け、牛肉を平らげた
回転した竹串はテインツに当たり、彼の足元に転がった。
「っ、危ないな、目にでも入ったらどうするんだ! 危ないしポイ捨てだし、ほんと君――――」
「あんたがいてくれてよかった。これからもいて欲しい。だから必要じゃないなんて思わないで」
――――テーブルの下をのぞきこんだテインツの耳に。
聞きなれた声で、聞こえるはずの無い言葉が届く。
竹串のことも忘れ、体を戻すテインツ。
テーブルの向かいには、組んだ手で顔を隠すようにして目を背ける、耳まで真っ赤なシータの姿があった。
「――――へ?」
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