12
「う。そ……そうさ。『ウィザードビーツ』以外はずっと、警備とか
「つまりライブイベント以外の催しには一切参加してなかったってことでしょ……信じられない。アマセ君とはまた違う方面でクソ真面目すぎだわ……」
「じっ、実際忙しくしてたんだっ、別にいいだろ学祭の楽しみ方なんて人それぞれでっ」
「あんたのそれは楽し――――や、まあいいやだわ、もう。今までと違って何か起こってるわけでもなし、ただ学祭
「君が
「!…………」
「…………、」
ピクリ、と
「アタシもしてみたいなー、学祭デートってやつぅ」「ハハ、相手もいないくせにー」
……横切った女生徒二人の会話が、神の
沈黙に
「ッッみょ、妙な間をあけて黙り込まないで欲しいのだわッ!?」
(て、手ぇ痛そう……)
「私は事実を言ったまでなのだわ、『これ』は学祭を回ってるでしょ!? そうとしか言えないでしょ!?」
「い、いや……てっきり何か用事でもあるのかと。『借り』がどうとか言ってたし」
「そう、そう!! 借り!! それをサッサと返したいのだわ私は!」
「そ、そんな怒らないでくれよ……はぁ。でもなるほどね、だから軽食を奢ってくれたってワケか。やっと納得がいったよ。ありがとう」
「いちいちイチイチ話の通じない男ねアンタほんっと!! それはあんたがワケわかんないネガティブモードに入ってたから仕方なくおごったげたものでしかないの!!」
「っ!? な――何言ってるんだ馬鹿にするな、借りにも貴族である僕が
「でまた怒るベクトルが地味にズレてるしあああああもう!!! あーもう!!! 宇宙人かお前!!」
「言ってることが分からないのは君の方――……ああ、いや、ごめん。またケンカになっちゃうな。ごめん、そうだね。たぶんズレてるのは僕だ、うん……」
「あーまたネガティブ入んなめんどくさいッ! いいからそれを無言で食す!! 食べ終わるまで話さないからっ!!」
「え、ええ……?」
……
周囲の人々がこぞってこちらを見ている気がして、テインツはもはや味など分からなくなっていた。
(……破局寸前のカップルにしか、見えないだろうな。見るとしたらだけど)
目の前で牛串をゴモゴモと不機嫌に
そうでもしないと顔向けも出来ない人と一緒にいる事実に、テインツはただただ違和感を覚えた。
(……
「借りを返したい」と、彼女は言った。
でも一体、何をどうすれば納得してくれるんだろうか。
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