こんなにも行きたかった異世界 -最弱の少年は、ただ復讐のために魔女の手を取り力を求む-

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「あんたには無かろうとこっちは感じてんのッ。嫌なのだわ、今後こういう負い目背負（しょ）ったままあんたと話すのはっ」

「だから、君が負い目感じる要素なんてないって。僕は風紀委員（ふうきいいん）で――」

「だからあんたがどう思うかは関係ないって言ってんでしょ！？　同じこと言わせないでよ頭悪いのだわねっ」

「ッ！！…………う、うんごめん……僕は……」

「うわまたしょげやがったのだわウッザ！　あんた平気そうな顔してたけどあのハゲ男の暴言だいぶ効いてんでしょ実は！？　案外ザコいのだわねあんた！」

「ザコ…………ハゲ……」

「ハゲはあなたに言ったんじゃないんですけどっ！？！？　って、あーもうラチ明かないのだわ――――くそっ。あんたっ！」

「は、はい。何かな」

「サエない顔が最高に似合うわねあん――あ間違えたのだわそうじゃなくてっ！　この後！　時間はあるっ！？」

「じかんはあ――――時間？　え？」

「きゅ、急にちょっと持ち直すなっ……うん、時間。借りを返そうにも、そのシケたツラとネガティブ思考を直さないと始まんないのだわよ、まったく手間のかかるっ」

「い、いいよ。僕にそんな――」

「だからあんたじゃなくて私の――あーもう嫌ッ！！　申し訳ないと思うなら言うこと聞けッ！！」

「わ……わかった……」

「だーもう調子狂うッ！　こんなキャラじゃないのだわ私はッ！！！」

◆ 　　　　◆

　第二層、カフェテリア。

　大魔法祭（だいまほうさい）の期間中は休憩（きゅうけい）・飲食スペースとして解放されているその一角に、シータは二人分の適当な軽食を購入してテインツを引っ張り込んだ。

「はあっ……ほら。食べて」

「よ。よかったのか、店番……」

「あんた見てたでしょ私が友達に見せ頼んでるところッ。それがすべてよ、次その話蒸（む）し返したらもうあんた一生許さないから。いいっ！？」

「わ、わかった……」

「よしだわ。解ったらホラ食べてっ」

「お、お金は」

「オゴるから食えッッ！！！」

「い……いただきます。ハァ……」

「ため息つきたいのはこっちだっての……ハァ……」

　二人して、食す。

　必然生じる、気まずい沈黙。

『………………………………』

　口の中で解らなくなりかける味を必死で追いかけながら、食べ終わった瞬間から何を話すべきか、頭の中で必死に施行するシータ。

（……って、別に何も話さなくたっていいのだわよ。とりあえずはコイツのネガティブが直るまでは――）

「……美味しい」

「！」

「へえ、こんなのが学祭にあったのか……これ、どこの店の？」

「あ……に、二層の真ん中らへんにある、ボディビル愛好会の連中が毎年作ってる香草（こうそう）牛串（ぎゅうくし）よ。……まさか知らないの？　毎年学祭の目玉よ、コレ」

「し、知らなかった……」

「なんで？？　あんた別に転校してきたワケでも無かっ――――ねえ。もしかしてあんた、これまでの学祭（がくさい）……」