6
学校から一番近い街の一番外側、山あいに建つ小さなお城じみた建物。
おキレイな
ゴゴワー! と家を囲むこれまたキレーなレンガ造りの
周囲の、ちょっとウッソウとした森の風景の中に突然現れる、そんな場違いに過ぎる……うん、誰が見ても、
これが
(……
どーんとわたしの侵入を
年末くらい帰って来いと言われて以来、実に実に久しぶりの帰還である。
なんでこのクソ忙しいときに、わたしゃこんなとこに帰ってこにゃなりませんのよ。
「……………………………………………………」
……まばたきしたら消えてくれないかなー、これ。
家も事件もアルクスもパールゥとのやんややんやも何もなくなって、のんびり目が覚めて伸びでもしながらナタリーに髪してもらって、んでケイとかと楽しく過ごすの。
えへ、たのしい。
「………………………………、はぁ」
はぁ。二回ため息もつきたくなる。
そんな日常に戻れるまでに、私は一体どれだけのことを成し遂げなきゃならないのか。
マジどえらく遠のいたよ、私の心の平穏。せめてなんか、こう、ひとときくらい――
「――お
「に゛ぇっ?」
――今月一番変な声出た。
ぴしりときこなされた服の下で、メイドさんの顔がみるみるピシリとしていく。
やべ。
「たっ、ただいm――」
「お嬢様っ!!!」
遠くでワキワキと働いていたホウキとちりとりがパタリと地面に落ちる。
そんな風に目を現実逃避させる私に突撃するようにして、メイドさんがいそいそと扉を開ける。
あぁあ、そんなキイギイ音鳴らなくていいからっ……!
とか思ってるうちに、はしと手を両手でつかまれた。
「お帰りなさいませッ! マリスタお嬢様っ!」
「た、た。ただいまアマンス」
「あぁお嬢様っ」
「でゃ、だだだ! て、そんな手ぇすりすりすんなってばも」
「ああそうだ! 『集合願います!――――お嬢様ですっ!!』」
「やっ……」
私の野太い悲鳴など、メイドさんはまったく意に介さず。
変える度に聞かされるウンザリの
『お嬢様ぁっ!!?』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます