3
暗い視界の中で、何か液体の波打つような音が聞こえ、遠ざかった――何かを飲まされようとしていたのか。俺は。
「要件を言ってもらおう。マーズホーン」
「言わずとも
「誰を?」
「下手に時間を稼ぐな、無駄です。その行為に正当性は無い」
「……やはり、あの場でイグニトリオも捕らえておくべきだったか」
「無駄口。早く解放しなさい」
「こいつは何か重大なことを――」
「正当性は無いと言ったはずです。組織に属すなら規律を守りなさい。生徒達でもできることです、それとも――アルクスとはそんな組織だったのですか」
「…………」
「……全教職員、及び六年二組・四組の全生徒連盟による声明、ならぬ
「なら済ませてからくるんだな。俺達の指揮権は
「馬鹿なことを。この書類は生徒の解放を求めるためのものです。生徒の命を救うのに手続きもクソもありません。たとえここで
何人かが床を
しかし、次に聞こえてきたのはガイツの沈着な声だった。
「元のように転がしておけ」
「は?」「が、ガイツお前――」
「勧告書まで出されては仕方ない。指示通りやれ」
「……わ、わかった」
胸倉を掴まれて少し持ち上げられ、次いで
雑に投げ出されたが、背で壁を伝ってなんとか床に腰を落ち着けた。
「何をしてるんです、
「――言う通りに」
――誰かが指を弾き。
果たして俺は、何時間かぶりに光の直撃を視界に浴びた。
「大事ありませんか、アマセ君」
「あ……ああ、大丈夫」
「そうですか。――――さて、どう考えたらよろしいですかね。バルトビア兵士長」
「…………」
「確かな罪も無い者を監禁し、人権を
「好きに想像――」
「まあ、あなた達の心情は容易に想像がつきますがね」
「想像が――」
「――何だと?」
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