27
兵士が止まる。
悲嘆に暮れていた人々も、徐々にクローネの言葉に耳を
「ゼタンの創ったカラクリ人形の力は絶大だ。その気になれば、
「……私達を滅ぼす前に、出来る限りの意志力を『
「俺もユニアの言った通りだと思う。そしてもう一つ、大切なのは――ゼタンには、俺達への復讐心や恐れなど、
「な――何?」
「奴は『神』で、逆に言えば『神』でしかない。同類の神を殺した俺達を憎んだり、自分が殺されるかもしれないと焦ったりなんて感情は、奴には存在しないんだ。奴はこの
「――
「そう。より従順で意志を持たない、完璧な人間を創り出すまでの『先立つもの』も、必要だろうからな」
兵士がよろよろと後退し、やり場のない怒りと無力感で空を叩く。
それが収まるのを確認してから、クローネは再び口を開いた。
「それが、俺達の最後のチャンスになる」
「……チャンスだと?」
「言っただろ。あいつは今、皆の絶望で上等な意志力を貯め込んでいる真っ最中の筈だ。でも、まだそれ以上の意志力を手に入れられる可能性がある。奴はそれに気付いてる」
「それ以上の、って……タタリタが死んだんだよ? これ以上の絶望……なんて……」
言葉を、ユニアが目を見開きながら途切れさせる。
その眼前には――タタリタの騎士、クローネの金色の目。
「そうだ。俺の死だ」
「クローネ――あなたまさか、」
その時だった。
音も無く、部屋の中心にゼタンが
『!!!?』
「
不意のことに、
クローネは、既に剣の切っ先をゼタンへと向けていた。
「――いつの間に
「言葉の割には
「余裕などありはせんよ」
「じゃあ追い詰められている?」
「
グ、と作物呼ばわりされた兵士たちが力む。
ギリートの奴、本番になって更にノリノリで演じてやがる。
本当に、こいつの神への馴染みようはどこからくるのか。
ユニアを――パールゥを
言いながら、ゆっくりと呼吸を、精神を――――呪いのざわつきを、出来る限り落ち着けていく。
ユニアとの別れ、そしてゼタンとの剣同士の戦い。
二連続で、呪いが
この後が、
「――いいだろう。俺がお前と戦ってやる」
「クローネ!?」
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