25
最早どこから
――飛んできた
血みどろのタタリタの眼光が――――悠然と空を歩くゼタンを
「――
タタリタは応えない。
応える余力などもう、残されていない。
だから、もう振り向くことも無かった。
「――――――――ッッ!!!」
口を
クローネは、音も無くその場に背を向ける。
背後の轟音。
飛び去る
やがて、戦いの音は去り。
魔波さえも、届かなくなって。
タタリタの気配は、完全に消え失せた。
「クローネッ!? タタリタは――」
「気配を
「え?」
「気配の遮断だ、ゼタンに気付かれる前に!――早くッ!!」
クローネの言葉に、タタリタの結末を悟り。
込み上がり振り切れそうになる感情を、口に手を当てることで何とか押し
ユニアは魔法を展開し、
――沈黙。
意識を保っていた生存者達が、一人また一人と二人の下に歩み寄り――その様子から、戦況を悟る。
のち、ようやく動き出したクローネが確認する。
タタリタの魔波は全く感知できず。
非戦闘員の集う
◆ ◆
守るべき者が、何一つなくなってしまった事実。
もはや人類に戦う理由は何もなく、そして勝てる見込みも全く無い。
否。そもそも人間達にとって、既に事態は勝ち負けなどという言葉で語ることの出来る段階ではなくなっていた。
人間を駆逐するためだけに創られた
その存在を淡々と語り、クローネは言葉を切る。
誰も、何も言わなかった。
「…………あああ。ああああああああああ。あああああああああああ……」
アトロ・バンテラス演じる兵士が、涙を流しながらも懸命に
その声に
彼らを見回し、ユニアが涙する。
しかしクローネはそのまま――――彼らに背を向け、自分の執務室の扉へと歩き出した。
「……待てよ」
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