17
豪腕より放たれたクヲンが、閉じかけた
『と――――届いたァ!!』
人間達の歓声。
しかし、一足遅れて
本来なら障壁の中には、二人で突入する
もう、中の様子は
加勢することも叶わない。
クヲンは、たった一人で神を相手にしなければならない。
「…………クヲン…………!!」
舞台が真っ暗になり、暗転を
暗闇の
時折、暗闇の中で音が鳴る。
多くは、観客が緊張を
本当は音を一切たてずに、最速で舞台裏へ戻るのが最良だが……なにせ暗闇の中だ。
俺も無音で忍び歩けるまでに、相当な時間を要した。
そうした時間との格闘の
真っ白な舞台上には、ただ向かい合うエリダ――クヲンと神プデスだけが残されていた。
――ここは、個人的に気になっていたシーンでもある。
「やっと近くで対面できたな……プデス!!」
「くっ……」
「覚えてるか。お前が殺した人間の顔を。私のダチの顔をッ」
ズシリ、と踏み出すクヲン。
プデスは下がろうとするも、そこは
「やっと戦える……やっと死んでった仲間達の借りを返せるッ」
「……か。神を殺すのか? 我々が死ぬと思っているのかっ」
「思ってるさ、そして事実お前らは死ぬッ!!……殺すことが出来る。それが
「――――――、……」
プデスが顔を伏せ、――静かになる。
ここからだ。
「――――いいだろう」
「あ?」
「今ここが、
「!!」
プデス役の男子生徒も演劇部である。
それ故か――このシーンのプデスの
表情、声色、そして
そして、それに
エリダの持つ素質はなかなかのものだ、とシャノリアは言っていた。
体も柔らかく表情も感情も豊かで、見る人の目を惹き付ける存在感もある。
エリダはエリダのままで、クヲンという人物を演じられる要素を持っていた。
――ただ一つ、戦闘経験を除いて。
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