15
今戦っている神々を討ち果たしたとして、また後任の神がこの戦いを続けるのではないだろうか。
皆、戦いに疲れ切ってしまっているのである。
不安、恐れ、疲労が、次第に人間達の心を絶望に染めていく。
そしてそれがまた、神々にとっては求めるエネルギーへと繋がっていく。
人々は思わずにいられない。
結局のところ、自分たちは手のひらで転がされているだけではないか、と。
「あんた達は結局! この戦いの終わりなど、全く見えてないんじゃないのか!?」
少年が、今や部隊長に
クヲンは一歩も
「落ち着くんだ。そう言いたい気持ちは十分――」
「そうやってはぐらかしてもうどれだけ経った? どれだけの仲間が犠牲になった!!?」
「――……」
「目的も聞かせず、決着の形さえ示さず!! ただただ俺らの命を使い捨てるッッ! やってることが
「ゼタンは人間の希望を察知する。絶望と同じように」
「…………なに?」
少年の手を包むようにして、クヲンは冷静な言葉を少年に返す。
聞けばあいつ、実はアルクスの兵士長であるペトラ・ボルテールの妹なのだという。
さすがの血筋、ということになるのだろうか。
確か、ボルテール家は貴族ではなかった
「さんざん見てきたはずだ。あの神は希望を察知すれば、それを必ず逆手にとって私達を絶望へ叩き落としてきやがる。だから、ギリギリまで押し隠しておかなければいけないんだ。
「!!!……き――希望?」
クヲンは
「お前達が不安に包まれている――その状況すらも、作戦の一部だ。――よく来てくれたな、お前達。お前達がここで発した絶望と不安を、ゼタンは必ず察知している。それこそが絶好の隠れ
『…………!!』
「おっと、嬉しさを
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