14
パールゥが語気を少し強める。
「ユニアみたいに、諦めたりはしないから」
「……それを今言って何のつもりだ? 本番中だぞ」
「別に。ここで
「そうか」
パールゥが去っていく。
それを察知したかのように、薄闇の中をマリスタがやってきた。
「……改めてあのシーンはありがと! ごめん!」
パチン、と小さく手を鳴らして合わせ、謝罪の意を示すマリスタ。
一幕の中で、
「ああしたことは誰にでも起こるだろ。次は気を付ければいいだけだ」
「そうだね!! 気を付ける!!! 切り替えた!!」
「早いな。もう少し落ち込め」
「どっちよ?! へへへ」
薄暗いが、どこか顔を赤らめているようにも見えるマリスタ。
第二幕に挑む気合は十分の様だ。
「……それに、あれで貸し借り無しになっただけだ」
「はい?」
「俺もお前に助けられたからな。……ありがとう、マリスタ。夕方の変なイベントのときは助かった」
「――――」
闇の中で真顔になる少女。
その顔に、どこかキスを終えた後のタタリタを感じた。
「――い、いいってことよ!!?」
「てっ――なんで
「なっ、なんでも?!」
「ったく……照れ隠しも程々にしておけよ」
「分かってるなら理由聞かないでよ?!?!? ……あーじゃなくて、違う。こんな話をしに来たワケじゃなくてね」
「呪いならいつも通りだ」
「ちゃんと
「他には?」
「会話にならないでしょって!!!」
「お……おい静かにしろ。表に聞こえるぞ」
「ひをっ」
珍しい叫び声と共に口を
着込まれた軽装の鎧が、カチャリと音をたてた。
「……やれんの?」
「ん?」
「イグニトリオ君とのアクション。やれるのかってこと」
「やらなきゃ劇が終わる、二重の意味で」
「やる気なのね。うし」
マリスタが短く拳を突き出す。
無言のまま、その拳を軽く
◆ ◆
人間は、ほぼ全員が魔法を使うことが出来るようになった。
更に巨大な戦力アップを果たしたタタリタとクローネの力も加わり、たった三人しかいない神を相手に、人間達は次第に優勢に戦うようになっていた。
しかし、それも長くは続かない。
神々は、人間のように食べ物や飲み物を必要としない。
対し人間は戦いが長引けば長引くほど、
限りある資源の下、限りある戦いを強いられるのだ。
そして何より――――「何がどうなれば」戦いが終わるのか、全く見当もつかないということである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます