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◆ ◆
「……
「そうかしら。私はエンギエンギしてて見てられないのだわ」
「エンギエンギってなんだよ……君はまたそうやって
「るさい。劇は静かに見るのがマナーなのだわオボッチャマ」
(この子は……)
「つまんなっ。ねーむたっ」
「ココウェル。上演中は黙るのがマナーです」
「うっせーな。大体回りそんなに客居ねぇじゃない。人気無さ過ぎて笑うわ」
「まあ、
「一言多いんだよお前はッ。てか誰も真面目に見てやしねーって」
「私は見ていますよ」
「……あ?」
「ですから、お静かにしていただけると助かります」
「おや。君と一緒になるとは。コーミレイさんだよね」
「……どうも、サイファス・エルジオ先生」
「君に先生と言われるとこそばゆいな、なんか。小さい頃はマリスタ入れて三人で遊んでたから――」
「覚えていません」
「
「好き好きです。観劇中なので集中させてくれると助かります」
「はは、ごめん。そうだね、だって今からが――君が一番見たいシーンだろうからな」
◆ ◆
「神様キックっっ!!!」
「あでっ!」
ずべしゃ、と吹き飛びながら舞台へ出る。どよめきと興奮が、観衆から伝わる。
顔を上げた先には、俺と同じく貫頭衣の少女。
「う、う。うぇぇぇええ~~~ん」
「ああっ。だ、ダメだよタタリタっ。またクローネを泣かしたぁっ」
「もっとつよーくなりなさいっ、クローネ! わたしたちは、カミサマとおなじくらい強くならなくっちゃいけないんだからっ」
「むりだよぉ……おしりいたいよぉ……」
「よしよし、さすさす。痛いのいたいのとんでけーっ」
「ユニアはあまやかしすぎなのっ! おシリさすっていたいのがなおるかっ」
「こわいよ~っっっ!!!!」
「なーもー!! 泣くななきむしくろーねー!!!」
「おにばばタタリタ~!!!」
「なきながらハンコウしてるのはこの口かぁ!」
「あ゛~」
「あーもうほら、二人ともー!」
自分をある意味、捨てること。
それが演技の極意だと、
全てのプライドを投げ打って、俺はここにいるのだ。
くそったれ。
地獄のシーンがようやく終わり、それぞれが舞台の中央、右、左(左右をそれぞれ
「ぐずっ。だいたい、なんでカミサマと同じくらい強くなくちゃいけないの?」
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