第46話 英戦の魔女と大英雄
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暗闇の中。
「そらみたことかっ! 人間が、我らへ
いそいそと舞台を横切る、青白い顔に白の長髪を
観客の背後から光の筋が伸び――プデスの声に応じ、新たな神が舞台に現れる。
「やはりか……我々によって『
現れたのはオレンジ色の怒髪を持つ男――――ロハザー・ハイエイト演じる神、キュロス。
いずれも
「
「いや違う。そもそも、奴らから力を取り上げ過ぎたのが原因なのだ。ゼタンは人間に、変態する力も魔法の力も与えなかった。それが奴らの欲望を
「本当にそう思うか?」
プデスとキュロスが、舞台の
中央から、二人よりも
「ゼタンッ! この不始末をどうつける気だっ」
「ゼタン、今からでも遅くない。彼ら人間に、我らと同様の――」
「なかなかどうしてこれが
「……益?」
慌てふためく神、プデスが問う。
ゼタンが舞台の
「人間の心が生み出す力こそ、我らの目的だ。そのためにこそ、我々は存在し、そして人間を生みだした。違うか?」
「……反逆の心が、奴らの精神と意志を増幅させていると?」
「感情という
「……かんじょう!?」
プデスがあんぐりと口を開ける。
キュロスがゼタンに近づいた。
「どういうことだ? 感情が、人間の心の力を増やしたと?」
「ああ。数十倍にもな」
「数十……!」
「皮肉なものだ。我々が最も
「……、」
「だが、その感情は危険なものだ。矛先は間違いなく我等を向き、目的を果たせば感情は消えてしまう。そんな不安定なものに頼って」
「消えぬようにすればよかろうが」
「力を集――――消えぬように?」
「っ……ゼタン、ゼタンッ! 何を考えておる。一体何を企んでおるッ!」
「何も。ただ……今まで通りに、しようと」
「それが出来ぬからッ――!」
「負の感情こそ
「言ったろう、それは危険で――」
「危険など無い。お前が言ったのではないか、キュロス」
「私が?」
ゼタンが中央奥に下がり、肩越しにキュロスを見る。
「奴らは変態できん。魔法を使うことも出来ん。そして、我等はその両方を行使することが出来る。――――その力が何十倍何百倍になろうとも畜生は畜生だ。その
笑い声と共に去る、人間を、世界を作り
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