14

「現行犯で取り押さえるのが一番えーんだろうがなぁ……」



 トルト、シャノリアがうなる。

 誰かが大きな溜息をいた。



「……あのですね、ケイさん。言うならさっさと言ってくださいます?」

「な、ナタリー? 言うって」

「同感だ。元々そこを話すために呼んだんだろが、俺らを」



 ナタリーが、ロハザーが俺を見る。

 視界の端でヴィエルナもうなずいた。



「……そこで、ケンカの話に戻ってくる」

「確証を得るために……俺らのケンカが役に立つってのかよ?」



 ビージが疑わしげに言う。



「ああ。これから話すが……ナタリー。記録石ディーチェけてるなら消せ」

「ついてませんよ何も。この部屋の二十五の記録石ディーチェもいつの間にか外されていることですしね! 点けてる気配を敏感びんかんに察知できる方がいるのでしょうねェ」

「二十五も付けてたってのかよ……」

「フツーにプライベートの侵害……」



 ロハザーとテインツが顔を引きらせてナタリーを見る。

 当のナタリーはそんな視線などどこ吹く風、と茶を飲んだ。



「へぇ? 記録石ディーチェ見つけたりとかできんのケイ」

「知るかやった奴にけ」

「あ、イグニトリオ君なのね」

「ともかく。これから、ここにいるメンバーにだけ作戦の内容を話す。要点だけつまんで話すからよく聞いてくれ」



 実際の動きと。

 それ・・によって起こるであろう展開と。

 結果得られるであろう情報だけを、的確に伝える。



 当然――――



「待て待て待て待て待て」

「ちょっと待ってそれ……うん???? つまりどういうことかな???」

「あらまあ、貴方あなたプレジアから出ていってくれるつもりなのですか? そりゃあ御目出度おめでたいことですね」



 ロハザー、マリスタ、ナタリーがそれぞれに顔色を変える。

 まあ、そうなるだろうな。



「ケイ……確認させて? あなた……いつからそんな、その。……王女様とお近づきになったの?」

「……まあ、あのわけの分からんイベントの前は、王女に言われて一緒に学祭がくさいを回ってたくらいだからな」

「王女と学さ――――なンっで君なんだまたそういう役回りだけ?!?」

「うわっ?! バカ、テインツ! いきなり大声で叫ぶなッて」

「あっ、ああ悪いロハザーっ」

嫉妬しっと……今でもライバル視してんだねぇ」

「何か言ったかチェニク!!」

「べ、別にー?」

「おおおお、王女様に言われたの??? 一緒にデデデデートしてって!?!?」

「そうは言われてないが、まあデートと言っていいと思う。本来なら、あの後で今回の件に王女が関わっているかが分かるはずだった。あのクソイベントのせいで聞けずじまいだったが」

「まあでも、答えなかったでしょうね。ハイ関わってますなんて言わないでしょうフツーに考えたら」

「同感」



 ナタリーのげんに小さくうなずくヴィエルナ。

 マリスタが首を横に振った。

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