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 ひざまずいた全員が、ぎょっとした目で俺を見るのが分かる。

 それでも俺は――突拍子とっぴょうしも無いことを言われ、面食らっているフェイリーから目をらさなかった。



「……いきなり何の話だ」

「信用という意味で言えば、あんたも俺とそう立場は変わらないってことさ。ここにいる誰も、あんたと面識があるわけじゃない。俺の情報が皆に渡るのを恐れて・・・、俺を拘束しようとしている……と見ることも出来るだろ」

「…………そうか。どうしても捕まる訳にいかない事情があるということか」

「……酷い話だな。あんた自身、信じてもらったからこそ、まだここにいられる節があるというのに」

「俺が?」



 フェイリーが眉をひそめる。

 どうやら本当に覚えていないらしいな――まあ、日頃からひかえ目で大人しい気質の奴の発言ではあったが。



〝信じようよ〟



「覚えていないとはな。シータが目覚めた時だ。プレジアの門を守るあんたらが敵に内通している疑いがかかったとき、『疑おうと思えばどこまでも疑える』とあんたをかばった奴が居た」

「…………」

「あのとき、あんたを風紀の手で拘束してもらうことだって十分できた。それを差し置いて、他人に疑いがかかったときはすぐ拘束か? 底が知れると思わないか」

「……どっちが口車だかな、ケイ・アマセ。あの時と今とじゃ」

「状況が違う、とでも言うつもりか。確かに、俺はまさに今隠し事をしている。だが、あのときはどうだったんだ? 深くは追及しなかっただけで、アルクスにも隠している情報はあるかもしれないだろ。無いという根拠は示せない」

「あるという根拠も示せんだろう」

「ほらな。疑おうと思えばどこまでも疑えてしまう。結局立場は同じなんだ、フェイリー」

「………………」

「だからこそ、リア・テイルハートは信じる道をいた。そして――――俺もそれに乗ることに・・・・・・・・・・した・・

「っ?」



 俺は、皆と同じように――フェイリーの前にひざまずいた。



『!!?』

「俺を――――俺達を・・・信じてくれ、フェイリー。きっと、この事件の解決に役立ってみせる」

「――――――…………。 、ダメだ。俺はアルクスで、お前は現時点で十分に疑われる余地がある。そしてお前を信じられるだけの材料を、俺は持たない。それが全てだ。お前は信用に値しない。来いアマセ。お前を拘束こうそくする」

「レットラッシュさん!」



 マリスタが食い下がる。

 しかしフェイリーは相手にしない。

 眉根まゆねを寄せ、癇癪かんしゃくを起しそうになったマリスタを、ようやく調子を取り戻したらしいシャノリアが手で制した。

 テインツが前に出る。



「だったら。俺も拘束してください」

「俺もやってください」

「!? バディルオン君、テインツ君っ」

「私も」

「俺もだな」

「――――私もっ!」

「冷静になれ馬鹿共。そうやって数で対抗すれば俺が折れると思ったら大間違いだぞ。俺はアルクスだ。プレジア内外で仕事を取るプロの義勇兵ぎゆうへい一端いったんなんだ。感情で物事を前になど進められない。どれだけの数で来ようと無駄だ、拘束が望みなら拘束して――」

「ちょっと待った。……あ、じゃなくて。ちょっと待ったです。アルクスの先輩」

「…………何だ。イグニトリオ」

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