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「お――――いや、分かった。まぁナンだ、大した役には立てねぇと思うが……まあなんかあったら頼れや。話くらいはきいてやる」

「じゃあ早速。あんた、今回のプレジア襲撃には何も関与してないんだな?」

「してるワケねーだろ。…………げっ、ンだよお前さんらまで。もしかして、このゲームで俺を試してやがったのか?」



 まじまじとトルトの目を見つめるナタリー、マリスタ、ついでにロハザー。

 トルトは露骨に嫌そうな顔を返し、頭をきながら溜息ためいきいた。



「ったく、信用されてねぇモンだぜ……ま、校長があれじゃ疑うのも当然か」

「校長の関与に関しては何も知らないのか? 恩人なんだろ」

「知らねーよ。だがまあ、あの人と国のつながりが深いのは知ってるぜ。なんせ元王国騎士もとおうこくきしだからな」

「おっ――」

「王国騎士だったんスか!?」



 マリスタとロハザーが目を見開く。

 ナタリー、シャノリア、サイファスは反応を見せない。知っていたのだろう。



「そうだ。ちょうど二十年前までな」

「……また二十年前か」

「怪しさ抜群ばつぐんだろ。だが、あの人が騎士を辞めたのは内乱が起こる前だ。直接的には内乱にゃ関与してねえ。校長と王国の知り合い、両方の側から同じことを聞いた。確かな情報だろうぜ」

「では間接的には関与してる可能性があるんだな?」

「疑おうと思えばそうなるな。だがよ……ハァ、本当に厄介な話だよな。あーだこーだ考えるより、今の俺の力使って奴ら拘束した方がえーんじゃねーのか」

「……さっき・・・の力は、まだ残ってるのか。戦いが終わったら使えなくなってたりは」

「しねえみたいだな。すぐにも体をかたくできそうだぞ」

「……そうか」

「何の話だよアマセ、それ」

「お前さんには関係ねーことだよ、ハイエイト。つかお前さん、仕事中じゃなかったか? いくら学祭中とはいえコースの教師として見逃せねーぞ」

「うっげヤブヘビ?!?! わ、わかりましたよ今すぐ――」

「その通りだ。ロハザー・ハイエイト」



 聞き覚えのある声に、ロハザーが青ざめて固まる。

 彼の背後に立っていたのは、ゴーグルの向こうから責めるような眼差まなざしを寄こすアルクス――フェイリー・レットラッシュだった。



「どういうつもりなんだ……と問いたい所ではあるが、今はいいから一緒に来い」

「は――はい? 一緒にって、どこへ」

「医務室だ」



 即答。

 その場にいた全員の顔が張り詰める。



 言葉が要らない程に。

 皆、何が起こったかを察知してしまった。



「また犠牲ぎせいが出た。全員来い、現状を共有する」




◆     ◆




「もう『ケイ』はいいのですか、ココウェル」

「うっせーなお前ッ!! 私の今の状態くらい察しろ、その名前出すなボケッ!」

「は。失礼しました――」

「…………死ねばいい…………!!!」



 人目に付かぬ、建物の屋上で。



 ココウェルは体を抱きかかえるようにしながら、歯をきしませた。



「あいつら全員ッ、死んじまえばいいんだッ――!!!!」

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