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◆ ◆
『
「……襲撃者の前にあの団体を壊滅させた方がいいんじゃないのか」
「同感ですね。こればかりは。学祭後目にもの見せてやるので心配しなくでいいですよ」
「怖いって……私も同感だけど。ってかケイっ」
「引っ張るな引っ張るな。なんだマリスタ」
「なんだじゃないでしょ。呪いはどうだったのよ」
「……ああ。そうか。忘れてたよ」
「忘れてた……って」
マリスタが少しだけ、顔を明るくする。
その顔に、小さな
本当に、呪いのことなど忘れて戦いに
今改めて意識を集中させてみても、
何が作用して呪いが消えたのか。
考えられる可能性は――
「確か『痛みの呪い』ってのは、闘争心を起こすだけでも発動するんだったよな」
「……トルト」
疲れた様子でベンチに座るシャノリア、それを支えるようにして座るマリスタを
「闘争心を
「あ、ああ」
「そんな可能性があると、医者は言ってたのか」
「いや……無かったと思う。なんであんたがそんなこと」
「
「……え?」
「そう推測することもできんだろ。素性不明で『痛みの呪い』に触れてからこっち、どんどん記憶を思い出している男。そんな奴との戦いの最中に、お前さんは発作の
「……発作が起こらない条件が、俺の外に存在するかもしれない……ってことか」
「ああ。だから協力してやる」
「え?」
「俺は記憶を取り戻すため。お前さんはそれに加えて『痛みの呪い』の
「……トルト」
――胸に妙な
思い出されたのはあの夜。
相棒であった
「協力しない理由は無い」。
その言葉の重みを、俺は今、嫌というほど実感していた。
「どうなんだよ。さっさと返事しな」
「……こちらからも頼む」
「あ?」
間の抜けた声を返すトルト。
ナタリーといいトルトといい、失礼な。
「協力してくれ。このまま戦えなくなるのは嫌だ」
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