10
「あんたは学年も、上だしさ。今年で卒業して、プレジアからはいなくなっちゃうしさ。メチャメチャ頑張って、グリーンローブにもなっちゃうしさ。なのに私は実技でっ、レッドローブにおっこちちゃったしさっ」
「……ケイミー」
「んくっ……置いてかれたらどうしようっ、てっ。ひぅっ……あんたの目に私が映らなくなったらどうしようってっ、思ってさっ……怖かった。すっごく怖かったっ……!」
「お前……何考えてんだよ、そんなこと気にして」
「だから頑張ったっ。『頑張り過ぎだ』って言われ続けるくらい、頑張ったっ……!あんたに追いつき、たくって――――アトロにお似合いの、私でいたくって…………っっ!」
……煙が晴れていく。
会場の中央。
果たして、観客の目には――倒れ泣きじゃくるケイミーを抱き締めるアトロの姿が、しっかりと映った。
俺を見てる奇特な奴も居そうだな。
「馬鹿。バカッ。んなことしなくたって、いいんだよ。そんな風に思わなくっていいんだよ! そんなことしなくたって、お前はずっと――――俺はずっとお前のそばにいるから」
「!!!」
「俺も、もっと頑張るから。ケイミー・セイカードに似合いの男でいられるよう頑張るから。だからこれからも、お前のそばにいさせて欲しい。好きだケイミー。お前が好きだっ」
「――――うん」
誰からともなく、会場から拍手が巻き起こる。
誰だ
――バカ。笑うな俺。
気絶の振りがバレるぞ。
「いや、バレてますからそれ。もう」
「……居たのか。ナタリー」
「
「……
〝そういう態度が
「――――、」
「常日頃から空気読まない貴方にだけは言われたくない。はぁ、ホント痛いから早く――」
「ありがとう」
「――、、――――――ぁ?」
ヤクザもかくやという声でナタリー。
こいつも
「だから。ありがとう」
「二回言わなくても聞こえてますけど?。!」
「そうか? ならいい」
「…………何かあったんですか。今までとはキモさの質が違いますけど」
「別に。聞きたくも無いだろ?」
「はい」
「以上」
『――――ラヴバルーンファイトこれにて決☆着ゥ!!!!! 優勝を勝ち取ったのは、始まりから大して見向きもされていなかった
耳が割れそうな
少しだけ上げた顔の先で、二人は幸せそうに抱き合っていた。
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