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弾丸と拳の雨に打たれながら。
少女は、声高に叫ぶ。
「勝ちに行こう、アトロッ! やれること全部やって勝って、それで――あんたに伝えたいことがあるからっ!!!」
「――――――!」
――こりゃ、超えられない。
俺はこの二人に、勝てない。
「――――
弾幕二倍。
いや、それ以上の――!
「ず、ぁが、ぁ――――!!」
「ぐぁはっ、ぁえ――――!!」
最早戦いどころではない弾丸の暴風雨に、俺とケイミーはただただ打たれ、
〝
お前は初めてだろう、ケイミー。だが俺は――――
「
「ッ!!?」
――床を叩き割りながら俺に飛びかかってきたケイミーが、その頭で三発もの弾丸を浴びながら――その左手で俺の右腕を
「ぶっ――――ごァ――――!!?」
それを認識したときには――――右手で首元に、強烈なラリアットを食らわされていた。
浮いて、ケイミーと共に――ゆっくり後ろへ倒れていく。
視界には、降り注いでくる
「――俺達の負けだ。ケイミー」
それはまるで、吸い込まれるようにして――――俺の胸の宝石を、
全弾丸が
「ケイミーッッ!!」
遠くから聞こえるアトロの声が、俺のすぐ近くに落ち付いた。
……まだだ。
力を振り
ハッピーエンドの
「ケイミー、しっかりしろ! 意識あるのか、おいっ!」
「……アマセ君は?」
「壊れた宝石が消えるのを見た。間違いなく勝ったよ、だから心配すんなそんなこと。体はどうなんだって聞いてんだよ!」
「へ……へへ、へへへ……そっか、よかった。……やるもんでしょ、私も」
「バッカ、だから体は……」
力なく倒れたケイミーを抱きかかえ、笑いながら彼女の体を心配するアトロ。
ケイミーも力尽きてはいるものの、笑っているようだ。
背を向けて這っているから見えないが、それくらいは察しが付く。
そんなところで力尽きるなよ。
どうせなら行き着くとこまで行っちまえ。
俺にとってはクソどうでもいい、ハッピーエンドに。
「頑張ったんだ、私――」
「ああ、すげー頑張ったよ。すげえよお前――」
「――あんたに追いつきたくて」
「――お。俺に?」
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