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 話が聞こえていなかったのか、生返事なまへんじを返してくるナタリー。

 だが都合がいい。



「俺に付き合ってくれる。そういう約束だったな」

誤解ごかいまねく言い方は止めていただけますか情報提供の見返りに戦う場を提供したってだけですから!!」

「情報提供の見返りに俺に付き合ってくれる。そういう約束だったな」

「っ……ええ。そしてその見返りは既にお渡ししたでしょう。残っているのはもう――――」

『おっとォ! ルールガン無視な一部カップルを横目に、ちゃんとルールにのっとりしっかりかっちり戦い続け、ホント彼らのおかげでこのイベントは成り立ってますありがとうという本部席からの声も厚い一般カップル達の熱戦――――今、ついに生き残ったのはたったの一組になったぁ!!』

「――私と貴方あなた、そして一般ピーポー一組です。優勝なんて面倒なことになる前に、さっさと抜けてしまいますよ」

「じゃあ契約はまだ、有効だな」

「は?」



 歩く。



 歩き――――生き残ったカップルとやらに、向き合う。



『おっとっとっとっと!?!? ここでようやく本イベントの趣旨しゅしに気付いたか、実技試験じつぎしけん優勝?者のケイ・アマセがカップルに、たった一人で向かい合う!! あえて彼女は戦わせない、カノジョは俺が守るんだ! そういうことなのかァ!?』

「アホな解説ですね……!! ちょ、ちょっとケイさん!」



 向かい合って――ようやく気付いた。

 こいつら……



「アトロ……ケイミーまで」

「ハァ……ハァ……ったく、生き残りってお前のことかよ、アマセ」

「ほんと……こりゃ勝ち目はゼロになったかもね?」

「…………」



 グリーンローブのアトロ・バンテラスと、レッドローブのケイミー・セイカード。

 アトロの宝石は健在。ケイミーのマークは……壊されたようだな。

 他の参加者にはベージュローブなんかも居たと記憶しているが……こいつら、生き残ったということか、こいつら。存外やるじゃないか。



「だけど、なんでだろな……お前と一緒だと、なんか力がいてくる」

「見栄っ張り!」

「かもな。せっかくなら最後まで――カッコつけさせてくれよっ!」

「ハッ、勝手に頑張れば? カッコよかろうが悪かろうが……私はずっと、ずっとあんたを見てるけどねっ!」

「――――行くぞ!」

「おう!」

「…………似合いだな」



 相手にとって不足は、無い。



「ちょ……ちょっとケイさん!? 何をそんな無駄な――」

『さあさあさあ! ラヴジュエリーファイト最後の大一番!! それぞれ育む愛の形、たまこぶしきずなを乗せて!! 見事勝ち残り、プレジア公認のラヴラヴカップルとなり――』

「――――たたかい、を――――」

『――勝利のキス・・・・・を勝ち取るのはどちらのカップルかぁっ!!!!』

「――――――は???????????」



 ――雑音を意識からめ出す。

 体に魔力を充実させ、たがい地をる。



 体の調子は、かつてないほど良好だった。

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