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「ぁッ――――!!?」

「そ――そんなッッ」



 つかまれた腕を瞬時に引き、ベリンダの身体をわずかに前へ。



 彼女のもう片方の拳が俺の宝石を砕くより一瞬早く、彼氏の放った・・・・・・魔弾の砲手バレットが彼女を吹き飛ばした。



 後ろで結んだブロンドを振り乱しながら一瞬、空を飛ぶベリンダ。

 瞬間無防備になった腕を掴み、手の甲にある赤いハートマークを親指で押し潰す。

 マークは赤い光のちりとなり、消えた。



「て――てめぇ許――――!?!」



 彼氏の叫びが止まる。

 その眼前には、俺によってたて代わりにされたベリンダ彼女

 奴の不安定な命中率では、もう魔弾の砲手バレットは撃てない。



 みだ。



「砕け。自分で」

「~~ッッ!……ごめんっ」



 苦渋くじゅうに満ちた表情で、英雄の鎧ヘロス・ラスタングで強化された身体能力を用い、男子は自らの胸に着いた宝石をにぎり、くだいた。



「……噂通りの強さね。こういうのに出れば、あいつも少しは変わるかなって思ったけど」

「……そうだな。あいつは俺を倒すより、あんたがこれ以上傷付かない方を取ったのに」

「!」

「変えるべきはあんたの態度じゃないのか。知らんがな」



 手を離し、ベリンダを解放する。

 彼女は俺へ振り返らず、駆け寄ってくる彼氏の元へと歩いていった。



 ……大きく息を吸い、吐く。

 体にたかぶりは無い。

 意識もクリアだ。

 ほぼ作戦通りに事が運んだのも、良い方に作用しているだろう。



「気分はどうだ」



 トルトが歩み寄ってくる。

 相変わらずの死んだような目だが――今は何故か、少し笑っているように見える。



「悪くない」



 いや。

 笑っているのは、俺の方か。



「悪くない、じゃねーんですよ大馬鹿者さん???☆☆魔弾の砲手バレット

「っ?!」



 トルトを押しのけ、威圧の笑顔でこちらに歩いてきたナタリーがあろうことか弾丸を放ってきやがった。何とか回避する。



「っ――お前な、体調悪くなったらどうする。面倒をこうむるのはお前だぞ」

「ミリもこうむりませんからどうぞ死んでくださいっ☆てかこのゲームに参加する気は毛ほども無いっつったばっかで何を嬉々ききとして立ち向かってんだって話なんですよこの大ボケすっとこどっこいが」

「それと、トルト」

「あん?」

「・・・・・・・・・・・・」

「こ、コーミレイさん、どうどう。勝手はいつものことじゃない」

「私を取り巻きみたいに言わないでいただけます先生??」

「何を知ってるんだ、あんたは」

「……そう来るわな、当然な」



 トルトに向き直る。

 奴も今回は、のらくらと煙に巻くつもりは無いようだ。



「あんた、『痛みの呪い』についてくわしいのか?」

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