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 マリスタの頭に、パールゥの顔がよぎる。



 どうして最近パールゥと一緒に居ることが多いのか、とか。

 どうして断らず、パールゥとライブに行ったのだろうか、とか。

 どうして劇の練習に、護衛にもなってた自分でなくパールゥを指名したのだろう、とか。

 たずねたいことは山程あるのに、聞けていない。



 それを、果たして「仲がいい」と言えるのだろうか、と思うのだ。



「ええー? だってあんなに一緒だったじゃないですか、アマセ君が転校してきたときから」

「そ、それは成り行きで……ってかセイカード、あなたなんで私には敬語なのにケイにはアマセ君なのよ」

「あ、これは彼に許可取ったんですよ。元々は私が『先生にくらい敬語を使った方が』って注意したんですけど、まったく聞かなくて。だから『じゃあ私が敬語を使わなくってもいいのか』って聞いたら、『俺にきくな勝手にしろ』って」

「……あいつの言いそうなことだわ」

「ほら、それですそれ。アルテアスさんって、アマセ君のことすっごくよく理解してるって感じじゃないですか! っていうか彼女さんとかじゃないんですか?」

「彼女さんとかじゃありませんけどっ?!」



 知らず早口。

 マリスタ硬直。

 一連の動きを正しく受け取り、ケイミーは丸くした目をにやりと細めた。



「あぁー。そういう感じなんですね」

「ちょ――コラ! そういう感じって何よ! どういう感じでもないわよ!」

「ちょっとわかりますよ。私も今そういう感じなので」

「だからそーゆーってどーゆー?!」

「わかるでしょう? 友達以上恋人未満ってやつですよぉ」

「と――」



 ――友達、以上。



 マリスタにひっかかったのは、むしろそちらの方だった。



〝私は、あんたの友達になりたい〟

〝だから今度は、私が与える側になる! 私がケイと一緒にいる! 私がケイと一緒に強くなる!〟



 そんな大層たいそうな言葉を言い放ち、既に四ヶ月がっている。

 以後いごそれまでの自分を思い返すたび、マリスタの心は重くなる。



(……結局、今も気まずくて声かけられてないし)



 何の気なしに渡そうとしていた、リリスティア・キスキルのライブチケット。

 あれを渡しそびれたときからは特に、マリスタは自分から圭に関われなくなっていた。



「……アルテアスさん?」



(いや。それまで・・・・だってそうよ)



 友達になりたいと。

 与え、一緒に強くなると誓ったあの日から、自分は圭に何もしてあげられていない。



(……友達以上、か。怪しいなぁ、それも)

「アルテアスさんったら!」

「はい!」

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