37
マリスタの頭に、パールゥの顔が
どうして最近パールゥと一緒に居ることが多いのか、とか。
どうして断らず、パールゥとライブに行ったのだろうか、とか。
どうして劇の練習に、護衛にもなってた自分でなくパールゥを指名したのだろう、とか。
それを、果たして「仲がいい」と言えるのだろうか、と思うのだ。
「ええー? だってあんなに一緒だったじゃないですか、アマセ君が転校してきたときから」
「そ、それは成り行きで……ってかセイカード、あなたなんで私には敬語なのにケイにはアマセ君なのよ」
「あ、これは彼に許可取ったんですよ。元々は私が『先生にくらい敬語を使った方が』って注意したんですけど、まったく聞かなくて。だから『じゃあ私が敬語を使わなくってもいいのか』って聞いたら、『俺にきくな勝手にしろ』って」
「……あいつの言いそうなことだわ」
「ほら、それですそれ。アルテアスさんって、アマセ君のことすっごくよく理解してるって感じじゃないですか! っていうか彼女さんとかじゃないんですか?」
「彼女さんとかじゃありませんけどっ?!」
知らず早口。
マリスタ硬直。
一連の動きを正しく受け取り、ケイミーは丸くした目をにやりと細めた。
「あぁー。そういう感じなんですね」
「ちょ――コラ! そういう感じって何よ! どういう感じでもないわよ!」
「ちょっとわかりますよ。私も今そういう感じなので」
「だからそーゆーってどーゆー?!」
「わかるでしょう? 友達以上恋人未満ってやつですよぉ」
「と――」
――友達、以上。
マリスタにひっかかったのは、むしろそちらの方だった。
〝私は、あんたの友達になりたい〟
〝だから今度は、私が与える側になる! 私がケイと一緒にいる! 私がケイと一緒に強くなる!〟
そんな
(……結局、今も気まずくて声かけられてないし)
何の気なしに渡そうとしていた、リリスティア・キスキルのライブチケット。
あれを渡しそびれたときからは特に、マリスタは自分から圭に関われなくなっていた。
「……アルテアスさん?」
(いや。
友達になりたいと。
与え、一緒に強くなると誓ったあの日から、自分は圭に何もしてあげられていない。
(……友達以上、か。怪しいなぁ、それも)
「アルテアスさんったら!」
「はい!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます