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「無い。……あの無責任女の考えがここまでならな」
「名前で呼べ、
「……ええ」
「だがいい頭を持ってる」
フェイリーが俺の前に立ち――初めて
なんだかその目を直視できず、俺は目を
「今後も頼らせてもらおう。アルクスの大半が任務で出払っている状況では、お前の頭は役に立つ」
「買い
「だから評価してるんじゃないか。あの子も結構な切れ者だが、それをここまで導けるお前も相当なもんだろ。自信を持てよ、いいコンビだぞお前達」
「コンビね」
「お前が満足に動けていたらと思うよ。実力に関しても
「…………」
…………プレジアの為に、か。申し訳ないことだな。
俺は俺の為にしか動いていない。
ここに来たのも、長々と
〝リシディア
――そう。
俺が隠している
これを置いては、自分の目的になどとても
心の自由を取り戻す
それだけが、俺がこの件に関わる理由だ。
だからこそ、
「じゃあ、ひとまずこの場は解散しよう。今警備に出ている連中には、アルクスの方から連絡を回す。特に魔術師コースの君らは、ここでの話を決して
『はい!』
「
「ええ。検査準備はとっくにできてるわ。さっそく取りかかるわね」
「ええ。――では校長」
「……アルクスを呼び戻さなければなりませんね」
「昨日の時点で
「そうですか。私のせいで要らぬ苦労をかけて申し訳ない」
「仕事ですから。あなたはしっかり話をしてくれればいい」
「ええ。では、行きましょう」
「それとギリート・イグニトリオ」
「はい?」
「議論の進展には助けられたが、大貴族とはいえミーティングをすっぽかすのはいただけんぞ。他の連中は今そっちに行ってるんだろ」
「げ。バレてたんですね」
「なぜバレないと思うんだ。さっさと行け」
「はーい」
「ケイ・アマセ。お前もだぞ」
「俺?」
「セイカードとアルテアスに警護される筈だったろう。
「……はい。ではこの後二人と合流を」
「ああ」
皆に一足遅れ、
いつ終わるとも知れないミーティングを待ってなどいられない。
王国の関係者かもしれない襲撃者。
と時を同じくして現れた、お忍び王女。
偶然にしては出来過ぎている。
どこだ。
ココウェル・ミファ・リシディア。
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