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 場が急速に張り詰める。

 全員が、固唾かたずを飲んでクリクターの返答を待つ。

 俺も静かに魔力回路ゼーレを起こし、万一に備えたが――クリクターは、変わらぬ調子であっさりと返答する。



「いえ。私は彼らの仲間ではありません」

「証明は出来ますか?」



 エリダが言う。

 不安や怒りが綯交ないまぜになった目に、クリクターは苦笑を返した。



「すみません、出来ません。私や、共に記録石ディーチェの管理を行っている者。を知っている者は、すべて容疑者と言って差しつかえないでしょう。『襲撃者は呪いを見た者を襲い、記憶を消している』という仮定の下ではね」

「ひっかかる言い方しますねー、校長先生。その仮定が無ければ自分を疑うことは出来ないって言いたいんですか?」

「いいえ。アマセ君も言っていましたが……この仮定は疑問が、証拠しょうこがあまりにも不足しているのですよ」

「…………」



 ……その通りだ。

 ここまで話を進めはしたが。ナタリーが提起したこの仮定をていとするには、あまりにも情報が少なすぎるのだ。



「どんな疑問があるか。そしてどんな情報が、証拠が必要か。これからのあなた方の動きの為にも、今一度それを整理しておきましょうかね」



 そう言って、クリクターが俺を見る。

 自分でやれよ、と思わないではなかったが、状況は医務室いむしつに入った頃とはガラリと変わってしまっている。いたし方無いだろう。



「……一番の疑問は当然、敵は何者か、ということだ。だが、この場での話でかなりしぼめた。計画性を持ち、全員がそれなりの実力者で、学内の記録石ディーチェを盗み見る機会のあった集団。つまり、このプレジア魔法まほう魔術まじゅつ学校がっこう内部の集団、あるいはプレジアそのものが、容疑者ようぎしゃ候補こうほの一つとして立ち上がってくる」

「――候補の一つ・・、か。でも、そうなるわよね」



 システィーナが目を細める。

 エリダは目をぱちくりさせている。

 何人かは気付いているようだ。



「そう、一つだ……もう一つ、敵の正体として考えておかなければならない集団がある」

「……他にもってことは、プレジア外の集団? でも、実技試験じつぎしけん記録石ディーチェを見ることが出来る集団なんてそうそう――」

「校長は記録石ディーチェを、後にアルクスとなる者達の力を内外に示す目的で使っていると話した」

「――――!」

「そうだパールゥ。実技試験から二ヶ月が経った今、記録石ディーチェで撮った映像はすでに学外の誰かに見られている、と考えるべきなんだ――そうだな、校長」

「…………はい、」



 これまでと打って変わり、悲痛をにじませた面持ちでこちらを見るクリクター。

 自分が疑われることより、こっちを疑われることに痛手を感じていたようだな。

 ともあれ――



「映像は、すでに公開しています。…………唯一ゆいいつ王国側の人間に・・・・・・・

『!!!!!』

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