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システィーナが面食らった様子で俺を見る。
「それじゃシータが襲われ、しっかり記憶まで消されている事実に説明を付けられない。腕章を付けている奴を手当たり次第に狙えばいい風紀の連中と違って、彼女はたまたま試合会場に居ただけのいち学生でしかない。行きずりの人間の顔を覚えるなんて出来ないだろ」
「で、でも……」
「ああ。なのに実際、奴らはシータが呪いの目撃者であることを知り、襲撃している」
「どうやったのー? 会場にいなかったんなら見れないじゃん! シータのこと」
「…………!」
エリダが目を
奴らが標的を、特定した方法に。
「校長先生。一つ、質問いいですか」
「……なんでしょうか、ボルテールさん」
「……
「その通りです」
エリダの質問の意図に気付き始める一同。
静かに応じるクリクター。
当然、この質問を予期していたのだろう。
――当然、その先も。
「……
「…………ええ。
……
敵が情報を得た手段は、これで割れた。
そうなると、だ。
「参ったなぁ。参りましたよねぇ」
大げさに言い放ったギリートがクリクターを見る。
「ん? ってことはどうなるんですかね、校長先生。僕、あんまりその辺
『…………!!』
目が、続々と――クリクターへと向く。
プレジア学校長は、あくまで真正面からその目を受け止め、
「基本的には、私です」
気後れも無く、そう言った。
それが意味するところは明白だ。
先まで寝ていたシータも、パフィラでさえも、今やただただ
しかし、その視線の意味を口にするものは居ない。
居ないから、ギリートが言った。
「ありゃりゃ。それじゃ校長先生、
お
再びの沈黙を破ったのはフェイリーだった。
「まどろっこしいのは止めましょう、校長。単刀直入に
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