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「と、友達と話してたのは何となく覚えてます。後はリ……テイルハートさんの友達の――」

「リフィリィ?」

「そ、そう。今彼女が言ったリフィリィって子です。……それと、最後はアマセ君が勝った……んですよね、確か」

「そ……そこがビミョーになってんのよね。あたしらじゃ判断できないわよ。その、痛みの呪い? の化け物が出てきたから」

「おっきいガイコツだったぞ!」

「ガイコツ……全く見た覚えが無いのだわよ、そんなの」

「……やはり呪いの記憶だけのようですね、消えているのは」

「で、でもそんなことが可能なんですか? 他人の記憶に干渉して、特定の記憶だけ忘れさせるなんて」



 ――全員の視線が、それぞれが有識者ゆうしきしゃだと思う者達へと送られる。

 目を向けられているのはナタリー、クリクター、フェイリーが大半だ。

 リセルは俺を見ることもしていなかった。



「……方法はわかりません。私の知る限り、そのような魔法は存在しないはずです」

「私も知りませんね、そんな都合のいい魔法は。記憶を忘れさせるなんて、そんな人間しか使わないような術を精霊せいれいが持っているとは思えません」

「……また新しい魔術まじゅつか」



 フェイリーが眉根まゆねせる。

 ギリートがふい、と手を上げた。



「あ、注目どうも。えっと、今ってコーミレイさんの仮定、もとい妄想もうそうの下、話が進んでるんだよね? なんか新しい事実も出てきたし、一度情報を整理して考え直してみない? ですか? 校長先生」

「……現在の仮定をまとめると、『痛みの呪い』を見た者が襲われている、ということでしたか」

「シータはホントに覚えてないみたい。ってことは、その仮定って正しかったってことになる、のよね」



 システィーナがあごに人差し指を当てたまま、流し目で遠くを見る。

 「そうねぇ」とパーチェが天井を少しあおいだ。



「そのうち、他の子たちも目を覚ますだろうし。正しいか間違いか……どちらにせよ、その辺が分かるのは時間の問題かもね」

「でも、他に敵の目的につながるような当てはない……ですよね」

「目的……彼ら襲撃者の目的は、結局『痛みの呪いを見た者を襲い、記憶を失わせる』こと、なのでしょうか」

「……判断が出来ない以上、また仮定するのみです。彼らの目的が『痛みの呪いを見た者を襲い、記憶を失わせること』だとしたら。はいケイさん、後は任せました」

「は?」

「すみませんが私、急ぎ行かなければならないところがあるので。失礼しますね」

「ちょっ――ナタリー!?」



 エリダの声も振り切り、ナタリーが医務室いむしつを出ていく……相変わらず勝手な奴だ。

 必然、目と疑問のり場を失った面々が俺をまじまじと見る。

 あの頭でっかちめ。任せるのはギリートでも良かっただろうに。

こいつも今――



「やあ助かるなぁ。僕なんてすっかり思考が行き詰ってたから。ぜひ聞かせて欲しいなぁアマセ君のスイリを」



 ――確実に、行き着いている・・・・・・・顔をしているから。

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